【HQ】君の名は。【影山飛雄】

君の名は―3― ページ3

｢んー？｣



＿＿お前は誰だ？



ノートの次のページに丁寧に大きく書かれた文字。



お前は誰だって、これ書いたあんたが誰よ!!



｢たそ彼、これが黄昏時の語源ね。黄昏時はわかるでしょ？夕方、昼でも夜でもない時間。世界の輪郭がぼやけて、人ならざるものに会うかもしれない時間」




黄昏時ねぇ……小学生だか中学生のとき、本で読んだなぁ。なんとなくその、黄昏時とか彼は誰時とか逢魔が時とか……そんな感じのは興味がある。



｢質問でーす。それってかたわれ時じゃないんですかー？」



｢かたわれ時？それはこのあたりの方言じゃない？糸守のお年寄りには万葉言葉が残ってるって聞くし」



｢あー、ど田舎やもんなー」



でも、興味あるって言っても目の前にあるこの、お前は誰だ？の方が気になってしょうがないよ。そもそもこれ消していいのかどうかも……



｢次、上田さん｣



｢あ、はい｣



｢あら、今日は名前覚えてたのね。｣



｢……ん？｣



いやいや、何言ってるんですか？



そんなの……え？上田叶羽って私しかいませんよね!?



私、生まれて一度も自分の名前忘れたことないよ。先生を誰かと呼び間違えたりとかはあったけど、自分を忘れるなんてことないよ。

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