妖欄綺鍵陸 (ページ10)

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弍百陸拾ページ10

涙が零れてくる
　

結局、薮くんは契約破棄の道を選んだんや

薮「…さようなら、神ちゃん」

俺は薮くんの足を掴んだ

神山「破棄したくない言ったのに…なんでわがまま聞いてくれんの!?」

どこにも行かんで

俺を一人にしないで

薮「…だって神ちゃんには濵ちゃんとかいるじゃん。

しかも天邪鬼ってぬらりひょんとか酒呑童子、狐に比べたら弱い分類だよ？

もっと強い妖と契約した方が神ちゃんの将来に繋がるんだよ？」

神山「そんなん関係ない!!」

腹から声が出たと思う

神山「俺は…神山智洋は薮宏太という名の天邪鬼と契約したいんや!!

強いとか…将来とか、そんなんええ。

今を一緒に生きたいんや!!」

きっと涙でぐしゃぐしゃの顔やったと思う

傍から見たら笑いものになってたと思う

それでも…俺の気持ちを伝えるのはこれしか無かったから

すると薮くんは目を合わせてくれた

薮「…後悔しない？

これは自由にある選択肢の中から神ちゃんが選んだものだけど」

俺は何度も頷く

自由にある選択肢から俺が薮くんを選んだ

ただ、それだけなんやから

薮「天邪鬼として『鍵』に命ず、我と契約せよ」