妖欄綺鍵弍 (ページ20)

今日:7 hit、昨日:52 hit、合計:13,927 hit

漆拾ページ20

小瀧を追い出してまた部屋に一人になる

　

重岡「…やっぱ、一人がええな」

コウジ「こんちゃ‼︎」

ピアノ盤を見つめていると急に視界に妖が入ってきた

びっくりして椅子から転げ落ちる

この妖…

重岡「呑まれた、もの」

コウジ「どうも、雪女のコウジです‼︎」

雪…女？

有岡「シゲ‼︎」

部屋が急に吹雪に見舞われた

アリーの声がどんどん遠くなってくる

重岡「あ…あ…」

思い出される、あの記憶

冷たい中に投げ出される

肌を守ってくれる長い布は体から熱を逃すかのように短く、足を守ってくれるものなど無い

どれだけ泣いても声を出しても誰も助けてくれない

重岡「お願いします…もう、いい子になりますから…」

コウジ「およ？

やっぱり俺の思った通りやったな、この冷気が怖いんやろ？」

この世界には俺とこの雪女しかおらん

コウジ「なな、俺のお願い聞いてくれたらこの冷気止めるで？」

重岡「…ホン、マ？」

いい子にしなきゃ、お願い聞かなきゃ

コウジ「その『鍵』、俺にちょうだい？」

『鍵』を…渡す？

それだけで、ええの？

俺は震える手で首元にかかっとる『鍵』を取って雪女に渡した

小瀧「させへん‼︎」

…寸前、小瀧が乱入してきた