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幽鬼さんは身体中傷だらけで、結構な重傷だった。このまま放置していたら死んでいたかもしれないと思うと、ゾッとしてきた
「どうしてここで倒れていたんですか?」
「あぁ、それはね...」
「あの女に攻撃されて一時撤退してたんだろ」
あの女?誰のことかと幽鬼さんに聞こうとすると、気温が5度ほど下がりそうなほど冷たい風が吹き、得体の知れないナニカが来ているような気がしてきた
「もうここまで来るか...早口で話すからしっかり聞いていてね」
幽鬼さんが話し出したことを理解するのには少し時間がかかった
「妖魔の元となる呪力が溜まっている古箱がここには数千年間眠っていたんだ。その古箱は年が経つに連れてどんどん呪力が漏れ出して来たんだ。その呪力が妖達を妖魔に変えていたんだ」
「その古箱にはね、原初の妖魔が封印されていたんだ。けど、つい先ほどその箱を霊子...僕の姉さんなんだけど開けてしまいその妖魔に取り憑かれた。彼女はもう半分は妖魔に身体を乗っ取られている。僕達は姉さんを妖魔から引き離そうとしたけど無理だったよ。返り打ちにされちゃったんだ」
悔しそうな顔をしている幽鬼さんにどんな声を掛ければいいのか分からない。とにかく霊子さんが危ない状態なのは分かった。けど...
「なんで霊子さんはその箱を開けたんですか?」
「姉さんは、その妖魔を御霊さんだと思っているんだ」
「ご、御霊さん?誰ですかそれは」
幽鬼さんが話し出した後から何も話さなかった山ちゃんが口を開いた
「あの女のバディだ。だいだらぼっち、能力は確か全てを取り込むことができるんだっけか?」
「そうだね、その子の名前が御霊って言うんだ。霊子は取り憑かれた妖魔を御霊さんだと記憶されていて、今こんなことになってるんだよね...」
もっと早く動けていたらと幽鬼さんは言った。僕に何かできないだろうか...
「ねぇ、幽鬼さん。僕に何かできることは」
「見つけたよ。幽鬼」
背後から突然声が聞こえた。山ちゃんは瞬時に僕達を掴み後ろに下がった
僕達に話しかけてきたのは
「あれが霊子さなんですか?」
「そう。ちゃんとよく見たら分かるでしょ?彼女って」
身体の右半分は、黒いドロドロとしたものが付着されていて服も少し破られていた。しかし左半分の身体はまだ大丈夫だった
背後にいる大きな化け物...あれが幽鬼さんが言っていた妖魔なのだろう
見てるだけなのに足がすくんでしまう
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