第拾参話【悲劇の開幕戦】 ページ36
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時刻は零時前。桑野山山頂ではひんやりとした風が吹いており、穏やかそうな空気感があった
すると1人の足音が聞こえてくる。暗闇に溶け込めるほど真っ暗な容姿の女性が髪を靡かせながら、何かを探しているように窺えた
「後はここだけか......」
女性は少し腰を屈め地面に手を当てている
「近い。けど、少しズレてるな。それならここ辺りか?」
また別の場所に手を当てると地面から淡い光が現れた
「ビンゴだね。よし、あともう少し」
光が漏れ出ていた場所を掘っていると、女性は小さめの古箱を手に取っていた
「何千年かけて探し続けていたけどこんな所にあったんだね...はは、これでまたあの子と会える...!」
女性は古箱に貼られていたお札を剥ぎ取り、箱を開けようとしていた
「たとえこの身が滅んでも良い。一目でも良いから会いたいんだ。その為なら」
世界が崩壊しても構わない!
古箱を開けた途端に黒いナニカが現れて出し、ナニカは鋭く尖り始め彼女の心臓辺りを突き刺した
女性の手から古箱は零れ落ち、カタンと音を鳴らした
ナニカに刺されているのにも関わらず女性はニタリと口角を上げ身体半分が黒く染まろうとしていた
「どこで私は間違えたのだろうか...」
新しい足音が聞こえ出した。どこか焦っているような音だった
女性と似たような容姿の人間だった。髪は長いが男性のようだ。そばには緑色の火の玉が浮かんでいる
「くそっ、間に合わなかった...!」
『でも彼女はまだ完全体にはなっていないわ。今のうちにヤツと引き離せばいけるはず』
男性と火の玉は少し話をすると、女性に近づこうとした
「姉さん、早くそれから離れるんだ!そんなことをしてもあの子は__」
「黙れ!私はこいつを取り込んで助け出すんだ」
「違う、それにはあの子はいないんだ!」
しかし男性の言葉を耳にしない彼女は、何か作り出そうとしていた
「ほら、ここにいるじゃないか。御霊が」
女性基、川島霊子の後ろにはおどろおどろしい大きなナニカがいた
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