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「......あ、れ？」
何も襲われた感覚がない。落とした水鏡を取り目の前を見ると、山ちゃんが妖魔を追い払ってくれていた
「ありがとう山ちゃん！」
山ちゃんはこちらを向き頷いたような動きをしていた。山ちゃんならこういう時は呆れた顔、で...
「え？...待って待って待って！山ちゃんの顔が...思い出せない。なんでなんでなんでなんでなんで...！思い出してよ僕！」
どんどん彼のことを忘れていくような感覚に陥る。もしかして、水鏡のせい...？
でも、水鏡を使わないと何も見えないし、でも水鏡を使っちゃったらあの人の事を忘れてしまう...
「違う！あの人じゃない、山ちゃんだ！もう何も忘れたくない...！」
少し嫌な予感がした。使いたくないけど...恐る恐る水鏡を使う
「...っ！山ちゃん！」
そこには山ちゃんが倒れていて妖魔に襲われそうになっているところだった。急いで助けないと...！
「そこを退けー！」
小刀を作り出して、妖魔を払う。妖魔はすぐに離れてくれた
「はぁ...山ちゃん、大丈夫？」
山ちゃんに駆け寄ると、よく分からないが怪我でもしたのだろうか、あまり動けないようだ
僕がやらなきゃ。僕があの妖魔を倒さないと山ちゃんのことも見えないし、他の人達もバディのことを見えなくなってしまう
でも、水鏡を使えばどんどん忘れていってしまう。それでも、それでも...
「ごめんね、山ちゃん」
水鏡を使う。妖魔はあまり遠くにいなかった
僕は全力で走り出し、妖魔に急接近した。妖魔は鞭のようなものを伸ばし、僕を叩きつけた
「ぐふっ...！痛い...」
全身が熱くなる感じがする。でもやらないと...あの人のため、に
「僕、誰のこと考えてたんだろう...」
何も分からない。けど、あの恐ろしいものを倒さなきゃといけない気がする
手に持っていた小刀を見つめる
「類生」
「......僕は、僕は魁の相棒なんだ！！」
妖魔に小刀を深く深く刺していく。すると妖魔は砂のようにサラサラと崩れ去っていく
倒したと理解すると同時に、体が倒れそうになる
僕は誰を考えてたのかな。何か大切な人を忘れてしまった気がするけど何も思い出せない
瞼が閉じていく。眠い...寝てもいいかなぁ
「お疲れ、類生」
パリンと鏡が割れた音がする
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