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「社畜さんからの情報だと、ここ辺りに怪しい妖魔がいるからそこを調べてみてって言われたけど、この辺りかな?」
あまり人が寄りつかなそうな森の中で妖魔の呪力が探知されたらしい
「とりあえず、水鏡を使ってみようかな...山ちゃん、いるならここに立ってくれる?水鏡で見るから」
数秒待って山ちゃんがそこにいることを祈りながら、水鏡を翳した
「あ、見えてき...うわっ!!」
水鏡から見えたのは全身がドス黒くドロドロしたような体に、目の辺りが赤く光っていた。得体の知れない者を見たかのように体がこわばってしまう
「これが山ちゃん...?嘘でしょ...あ、妖魔、妖魔はいるかな」
辺りをもう一度見渡してみると、モヤのような物が見えた。しっかり写そうと近寄っていくと山ちゃんだと思う姿がそのモヤに対して攻撃しに行った
「やっぱりあれが妖魔...?山ちゃん、少し退いて!僕も見たいから」
言葉が聞こえたのだろう、一度飛び後ずさってくれた。完全に妖魔を認識できた
妖魔はぐちゃぐちゃとした姿でずっと見ていると気分が悪くなりそうな見た目をしていた
「うぅ...気色悪いな。水鏡で見るとこんな感じなんだ。山ちゃん、あの妖魔を弱らせられる?僕水鏡をずっと見続けるのは難しいから」
「......」
何か言っているのだろうけど、何も聞こえない。山ちゃんならこういい時なんて言ってるかな
「...あ、れ?なんで...なんで山ちゃんの声を忘れてるの...?」
見ない時までずっと話してたのに、そんなにすぐに忘れるわけがないのに...どうして、どうして...
「あっ、山ちゃん!」
山ちゃんには僕の声が聞こえてるらしい。すぐに妖魔に対して攻撃しに行った
僕はそれを待たないといけない。水鏡がないと見えないだなんて...情けないな
「どうしよう、僕も手助けに行った方がいいかな」
山ちゃんだけ頑張ってるなんて、僕が嫌だから
もう一度水鏡を翳す。あっちにいるのか
「こっそり行けば大丈夫かな」
少し迂回をしながら妖魔の背後を取り、呪力で作り出した刀を妖魔に突き刺す
「これで...!ひっ!」
妖魔は僕の方に振り返った。僕を深淵まで引きずっていきそうな顔はとても恐ろしくて刀から手を離し、尻餅をついてしまう
妖魔はゆっくりとこちらに来て、僕を飲み込もうとしていた
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