第拾壱話【忘却の咽び】 ページ26
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「山ちゃん...？」
いつも側にいたバディの姿がどこにも見当たらない
「やはり君達もか...」
「君達も？」
山ちゃんの姿が見えなくなり、とりあえず霊子さんの所に向かい事情を説明していた
「他の人達も妖のことを見れなくなったらしくてね...狐の窓をしても見れないんだ。困ったね〜」
山ちゃんは今どこにいるのだろうか。僕が見えなくなってしまったから遠い場所にでも行ったのかな...
ネガティブなことばかり考えていたら、霊子さんから頭を撫でられた
「大丈夫だよ。魁さんは君の隣にずっといるから安心したまえ」
「本当ですか...？」
霊子さんは微笑みながら、引き出しからある物を取り出してきた
「せっかくだから、君達に頼もうかな。妖魔退治」
「それは...？」
霊子さんが持っているのは小さな鏡のようなものだった
それを僕に渡すとこれの説明をしてくれた
「これは水鏡と言ってね。昔の妖魔対策部が使っていた物だよ。これを翳すと妖や妖魔の姿が見えるんだ。ただ、これは恐ろしい姿で見えるようになるから注意してね」
「山ちゃんが恐ろしい姿に...」
考えてみると怖いけど、姿が見えるのであれば大丈夫かな
「僕やります！姿を見せないようにした妖魔を倒しに」
「そう言ってくれて嬉しいよ。魁さんも行く気満々だね」
僕が部屋から出ようとすると霊子さんに呼び止められた
「そうだ類生くん。その水鏡は一度妖魔に奪われた物だから気をつけて使ってね」
「はい、わかりました！」
「......君は行かないのかい？」
「行くよ。ただ手前に聞きたいことがあるんだよ」
「ふふっ。なんでも質問してくれてもいいよ。ただ、今は早く類生くんのところに行った方が良いんじゃないのかい？」
「１つだけしか聞かねぇよ。手前、まだ何か企んでいるだろ？」
「さぁ、なんのことかな？私には分からないよ」
「惚けるな！俺を妖みたいにしたのも何か理由があったんだろう」
「まぁ、何を思ってくれてもいいさ。私はただあの子を探しているだけさ」
「ちっ...もういい。後悔しても知らねぇからね」
「妖魔の君を妖同然に出来たのさ。それならあの子も...」
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