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「ここが妖魔のいる場所か〜。すごくキラキラ万華鏡の中にいるみたい!」
「そんなにはしゃぐな。もうここに妖魔がいるんだ、気を引き締めろ」
そう言われて頬を軽く叩き、周りを見渡す。まだ何も起きてないのかな
「ねぇ、山ちゃん。妖魔の姿って...あれ?」
山ちゃんに触れようと手を伸ばすが、手は山ちゃんに触れられなかった。僕と山ちゃんの間に透明な壁が出現していた
「さっきまで何もなかったのに!どういうこと!?」
「〜〜。〜」
山ちゃんも僕達との壁に気づいて何かを話しているが、全然聞き取れなかった。薄い壁に見えるけど防音性は高いんだ!
「う〜ん...バラバラにされたらちょっと困るんだけどな〜」
狐の窓をしてみてもまだ妖魔は現れていないらしい
すると僕達を映していた鏡が変化していった。何かの映像が流れようとしている
「え......嘘、だよね...なんで、なんで...!」
鏡には“あの日”、僕の弟が目の前で首を吊っている映像が流れていた
なんで、どうして...あの妖魔がこれを知っているんだ...
呆然としている僕に、前から呪力の気配がした
「...!なんなんだよ。なんでこんなことするのさ...」
僕の目の前には、山ちゃんがいた。でもさっきまで山ちゃんは横にいたし壁でこちらには来れない。あれが妖魔なんだ。分かっているのに、体が震える
『手前は邪魔なんだよ。早く失せろ』
「...山ちゃんはそんなこと言わない...!言わないよ...」
身体が重くなっている気がする。全然動けない
『手前は自分の弟を守れず、あまつさえ弟を死に追い詰めた』
「やめて...」
妖魔はだんだんと僕に近づいてきた。僕は後ずさることもできなければ足も動かせない。思考を妖魔に握られている
『そして手前は今妖魔に攻撃もできていない。いいのか?今度は手前の相棒が死に至ることになるが』
「やめて、もうやめてよ...」
もう妖魔は僕の目の前まで来ていた。俯いている僕に妖魔は僕の髪を掴み無理矢理顔を上げさせた
『何もできないんだな。また後悔しちゃうね“お兄ちゃん”?』
「やめてよ!!!」
「これ以上は無理だな、一時撤退だ。霊子!俺らを帰還させろ!」
「うん、そうだね。それじゃあ帰還させるよ」
またあの眩い光が僕を包んでいった。最後に見たのは生気を失っていた弟の顔だった
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