第参話【誑惑の彼方】 ページ16
.
「バディの契約解除か...」
「なんだ坊主。手前契約解除したいのか」
僕の独り言が聞こえたのか、山ちゃんは僕を見定めてくるような顔をして見ていた
「あ、いや...ただあと一つはなんだろうと思ってて...別に山ちゃんとは契約解除したいとは思ってないよ。だって山ちゃんと一緒に過ごしてすごい楽しいもん」
山ちゃんと3ヶ月程過ごしていたが、毎日が非日常みたいでとても楽しい。今までが結構退屈なだけせいかもしれないけど
「へぇ、まぁいい。手前がそう思ってるなら大丈夫だ。手前がバディについて不満だったらこの任務をあいつが頼む訳がないな」
「それってどういうこと?」
「あとで分かる...それより目の前にいるぞ、早く見ろ」
そう言われ前を見ると濃い呪力が漂っている気がする。妖魔と結構見てきたのか、呪力吸収のおかげで呪力を敏感に感じとることができてきたのかもしれない
「あれ?あの妖魔、さっきまで火の玉みたいだったのに人間の形になった」
「知能が高いだけあって、人間に近い身体にして誘惑しているんだろう。まぁ俺にはどんな誘いでも断るがな」
妖魔に対して軽蔑したような顔を向ける。ま、山ちゃんってあんまり欲しいものとかそういうの無さそうだしな〜
妖魔はずっとこちらを見ているだけで、攻撃をしてこない。攻撃してこないのってちょっと不気味だなぁ。普段の妖魔はすぐに攻撃してくるから少し怪しい
「攻撃してこないからこちらから行かせてもらうぞ。行くぞ坊主」
「うん。分かった」
この前の妖魔と戦った時に残っていた呪力を鋭い刀に変形させた。一斉に走り出して妖魔に向かい刀で切り裂こうとしたが、妖魔は瞬時に火の玉に変わり避けた
すると妖魔は僕の背後に立ち耳元で話し出そうとしている
「坊主、そいつの話を耳にするな!」
『あやつと一緒にいるとこれから先不幸になるぞ。お前はまた“あの日”みたいなことは起こしたくないだろう?』
「...っ!な、なんなんだお前は!」
後ろにいる妖魔を刺しかかろうとすぐに避けられた。この妖魔、知能も高いし速いのはちょっときついか
妖魔のさっきの言葉...ダメだ。今は戦っているんだ、妖魔の言葉なんかに耳を傾けちゃいけない
妖魔はこちらから攻撃してこない限りは動かないようだ
「おい、坊主。」
「な、何?山ちゃん」
山ちゃんは僕をじっと見つめてからこう言った
「手前、一旦妖魔から離れろ」
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ