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長い廊下を2人で歩く。部屋を出てから今までお互い喋らずに歩いているため、気まずい時間が流れているように感じる。
どこに行くのだろうか。そう思いながら僕より数歩先にいる霊子さんを見上げる
美人なのにどこかミステリアスな雰囲気を纏っているからか、とても話しかけにくい。普段の僕ならどんな人とでも話せるはずなのに...
そんなことを考えながら歩いていると、曲がり角で霊子さんは突然立ち止まった
「あ、あの。どうされましたか?」
「丁度良いところにあの子達がいたからね。せっかくだし、ここで見てもらおうか」
何を言っているのか分からず霊子さんがじっと見ている場所を見るとそこには
少し紫がかった黒髪ロングでセーラー服を着ている、僕と同い年くらい女の子がいた
しかし霊子さんはあの子達と言ったが、セーラー服の女の子以外には周りには誰もいない
不思議に感じている僕に対して霊子さんは、目の前で指を組み複雑そうな形を見せた
「類生くんもこの手の形を真似してごらん。そしてその形のままあの子達の方に手を向けるんだ」
霊子さんの言う通りに、指を組んで彼女の方に向けて見ると、空いてる場所からじわりと何者かが浮かびあがるように姿を現した
「うわぁ!き、急に男の人が、で、出てき」
「あれが妖さ」
微笑んでいる霊子さん。あれが妖?ただ袴を着ている成人男性にしか見えない。
僕がまじまじと見ていたのに気づいたのか、それとも先程から僕らがここに長くいるのを怪しんでいるのか
セーラー服の女の子と袴の男性はこちらを訝しげに見ていた。
「流石に居座りすぎたか。あの子達の邪魔をしちゃったね。それじゃあ退散しようか」
2人に向かってヒラヒラと片手を緩く振り、もう片手で僕の肩を押して元いた場所に戻った
「どう?あれで妖がいることは分かったでしょ?」
「変な形を作ったら急に人が現れたのは認めます」
霊子さんはさっき見せてくれた形をまた作った
「これは狐の窓と言って、人間が妖と妖魔を見るために使うものさ」
“狐の窓”。何かの本で見たような覚えのある言葉だった
「とりあえず!君にはこれから相棒となる妖を決めて契約してもらわないといけないんだ」
「あのこれって...」
はいこれ。と資料を渡された。結構分厚い
「フリーの妖の基本情報が載ってるから気になる妖の所に行ってみたまえ」
それじゃあ行ってらっしゃいと急に部屋から追い出された
「...とりあえずやってみるか」
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