幽霊の見える小学生になった件2nd

件名:蹴撃の貴公子と月2 ページ30

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場所は飛んで鈴木次郎吉邸。
「ひゃ、百戦全敗！？全てを突破されたと申すか！？」
次郎吉が驚いた声をあげた。
「先日完成したばかりの最新鋭の防犯システムがか！？」
「は、はい、もちろんコンピューター上での話ですが…」
「今までの行動パターンを入力してシミュレーションした結果…」
「み、見事に…」
申し訳なさそうに言った。
「どうする？予告日は明日だぞ！？このままじゃみすみす彼奴に盗られてしまうではないか…！」
そういって次郎吉は宝石をみた。
「儂が世界中を駆け回ってようやっと手に入れたアレキサンドライト…翠緑の皇帝グリーン・エンペラーがな！！」
「し、しかしキッドの誰にでも成り済ませる変装術…いかなる事態にも臨機応変に対応する頭脳に加え…とても人間業とは思えない身体能力をデータとして加算すれば…」
「どんな防犯システムでも結果は同じかと…」
すると思い付いたように開発者はいった。
「なんならキッドの数値。二割減にしてシミュレーションし直してはいかがでしょう？」
「彼も人の子…体調の悪い日もあるでしょうし…」
「たわけ！！」
次郎吉はさらに大きな声をあげた。
「彼奴は俊敏をもってなる大泥棒じゃ…しかも毎回腕をあげておる…二割増しでも足らぬぐらいじゃわい！」
そういって宝石の公開を延期しようとしていた時だった。
「鈴木相談役！」
ボロボロになった警備員と思われる男がはいってきた。
「い、今、玄関に…相談役にあわせろという妙な男が…！」

一方玄関先では警備員となんと京極が戦っていた。
勿論京極の圧勝だ。
「何事じゃ！？」
次郎吉がでてくると、京極は丁寧に挨拶をした。
「我が名は京極真…園子さんとお付き合いさせて頂いている弱輩者でございます…」
「あ、ああ…園子のボーイフレンドの……して、何用じゃ？」
「怪盗某が狙う宝石を貴方が所持しておられるとお聞きし…ならば是非この京極真を…警備陣の末席に加えて頂きたいと…！」

結果は惨敗。次郎吉は断りをいれ、帰ろうとしたその時だ。
園子から電話がかかってきたのだ。
「ああ園子か？ちょうどよかっ…」
[ねぇ、もしかしてそっちに真さん行ってない？今、羽田空港なんだけど…真さんの搭乗手続きしてたら真さんいなくなっちゃって…]
「…彼はどういう男なんじゃ？空手家だとは聞いておるが」
[ただの空手家じゃないわ！世界大会４００戦無敗！向かう所敵なしの蹴撃の貴公子よ！]
「よ、400戦無敗？」
次郎吉は驚愕した声をだしたのだった。

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