俺がいるから、 ページ7
サグワside
力が入っていた手足を緩め、先輩から離れる。
だんだんと涙も止まってきた頃、うん、と頷いて見せた。
この人なら裏切らない、信じてみよう、と思う反面、未だにあの頃を鮮明に思い出す。
あんな風には、なりたくない。
辺りは薄暗く、街灯の明かりが足元を照らした。
「あのさ、根本的な解決にはなんねーかもしれないけど、」
先輩は自分の腕を捲って、左腕についていたブレスレットを取って。
それから、俺の傷だらけの左腕につけた。
「…え?」
「これ、やるよ。また切りたくなったら、それ見て、思い出して。そしたら少し我慢して、俺に言って。…俺がいるから、傷付けないで。」
最後の方は震えていて、でも、はっきりと聞こえた。
そんなことを言われたのは初めてで。
傷を見られたら除け者にされるか、怒られるか。
しかし、腕につけられたそれを見詰めて、
「ありがとうございます、」
「…約束な。暗くなるまでごめん。…んじゃあ、また明日。」
「はい、また。」
先輩はひらりと手を振って、街灯沿いに消えていく。
目を伏せて、拳を握り締めて、約束を思い出す。
先輩から貰ったブレスレットに想いを秘めて。
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作者名:DID-共同垢- | 作成日時:2018年1月22日 23時