彼らの世界 (ページ3)

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俺がいるから、ページ3

サグワside

まだ、この傷は誰にもバレていない。

何度も誰かに打ち明けようと思った。

自力でパソコンに向かって検索をかけても、ヒットするのはどれも自分の救いにならないもの。

学校常駐している養護教諭には、親戚に連絡が行くらしく言い出せなくなっていた。

放課後、誰もいなくなった教室で、窓から見える運動部の練習を眺めていた。

「よっ、サグワ」

聞き覚えのある声が、廊下に響くような形で反響する。

びくりと肩を揺らして振り返ると、そこには先輩が立っていた。

「どうしたんすか、わざわざ」

夕陽に照らされただけのオレンジ色の教室で、俺は荷物を抱えてマホト先輩の近くへ歩み寄った。

「んー、なんとなく。だってサグワ暇だろ？一緒に帰ろうぜ」

特に断る理由もないため、「はい」と微笑して答えれば、先輩は満足そうに教室から踵を返す。

慌てて俺も後ろからついていくと、

「ちょっと話があんだけど」

どこか遠くを見詰めながら先輩は、深刻そうな表情で呟いた。

少しどこか不安になって、逃げ出したくなったのをぐっと堪え、平気を装って絞り出した言葉は、

「どうしたんです？」

「帰りながら話すわ。」

…俺には、なぜか嫌な予感がした。