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俺がいるから、 ページ2

マホトside

俺がサグワの左手首の傷を見てしまったのは数ヵ月前。

校庭で体育の授業をしている二年の中からサグワを見付けて話し掛けたときだ。

あいつは夏でも、基本的には長袖のジャージを着ている。

「暑くないの?」とはときどき聞いたりしたが、「大丈夫っす」って返されるだけになって、そこまで気に留めてなかった。

ただ、そのときは無意識だと思うが徐に袖を捲っていた。

炎天下のなかの授業、額から滴るような汗を拭ったサグワの白い腕。

そこに覗いた手首の真っ赤な傷は目立って見える。

引っ掻き傷のようなものが、手首に何本も垂直に切られている。

呆気に取られながらも、「サグワ」と呼び掛けると急いで腕を隠した。

そうだ、昔もそれを目撃したことがある。

猫に引っ掛かれたんです、なんて笑っていたが、果たしてそれは本当なのだろうか。

確かサグワの家は猫を飼ってない。

猫を飼ってる俺だからわかる、さっきの傷は猫の傷じゃない、って。

そこまで深く傷はつかないし、今となれば、傷を隠すために長袖を着ていたと言われると辻褄があってしまうのも事実だ。

そこからだ、俺がサグワを気にかけ始めたのは。

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作者名:DID-共同垢- | 作成日時:2018年1月22日 23時

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