《2》 ページ42
｢章大、入んで｣
返事が少しだけ聞こえて、扉を開ける。
二段ベッドに横になっている姿が、以前より少しだけ窮屈になっていた。
｢どうしたん？今日はやたら皆俺にかまちょやなぁ。そんなに心配せんでも、このぐらいの熱平気やで〜｣
ふふふっと笑う章大に、すばるも少しだけ笑った。
｢……アヤが、死んだんや。
苦しまへんと、オカンオトンに見守られて｣
すばるは章大の目を見ることが出来なくて、その手を握るしかできなかった。
｢…………っ、……次は誰やろって、いつも、話すんよ｣
章大は少しだけ震えた声で、答えた。
｢……何でアヤ姉ちゃんなん。……俺より長生きしてって言うたんに｣
｢…………頑張ったんや。楽になったと思う｣
すばるがやっと、章大を見る。
泣いてはいなかった。でも、必死に涙を堪えている様子で、起き上がろうとするのを支えて、すばるも、もらい泣きしそう。
いつにも増してしんどそうな章大が、すばるに抱きついた。
アヤの病気は章大とは違い、ゆっくりと身体を蝕んでいた。重度の小児がんだ。
何度も寛解と再発を繰り返し、今回はもう、完治を目指す治療をしなかったため、ずっと緩和ケア病棟で過ごしていて、痛みも相当に強かったらしく、天国では穏やかに過ごしてほしいというのがすばるの本音だ。
突然倒れて死んでしまうのと、ゆっくりと死に近付くのとでは、どう違うのだろうか。
でも、家族が死に目にあえるのとそうでないのとの違いはすばるにも良くわかっていた。
｢……ﾋｯｸ……ﾋｯｸ……アヤ、ねぇちゃ……ん、ﾊｧﾊｧ｣
｢そろそろ、行こか。章大も今日はゆっくりしときや。
……それとも病院行くか？そのままやと、苦しいやろ｣
皮肉にも今日はド平日。
出勤の時刻が迫り、裕がやってきた。
すばるは章大の頭を胸に抱えてヨシヨシしてやっているけれど、落ち着く様子もない。
｢……ｽｽﾞｯ……ん、大丈夫。留守番できるよ｣
鼻をすするから、ドキドキと心臓が波打つのか顔を歪ませつつ答えた章大。
自らすばるを離れ、もう1度ベッドに横になった。
「偉いぞ。
明日、お葬式は近くであるみたいだから、行こうな」
｢……ん、オシゴト、行ってらっしゃい｣
行ってきますと、頭をもう1度撫でてやった。
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light(プロフ) - 青磁さん» ありがとうございます(*^^*)了解しました！気長にお待ち頂ければと思います！ (2017年11月8日 16時) (
レス) id: d372c14226 (このIDを非表示/違反報告)
青磁(プロフ) - はじめまして。以前から、章大くんが初めて肺水腫を発症したときのお話が読んでみたいなあと思っていたので、リクエストしてもよろしいでしょうか。もし記憶違いで既に書かれていたらすみません。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: 42ee9097d5 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - リクエスト完結！ありがとうございます！！ (2017年10月9日 16時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - みかんさん» 完結いたしました〜！ご希望に添えれていれば良いですが^^;また遊びに来てください! (2017年10月4日 22時) (レス) id: 803a88353c (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - リクに応えていただき、ありがとうございます！！ドキドキしながら、切なくなりながら読んでおります。 (2017年10月2日 22時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年9月22日 12時
