ep24.願い《1》 ページ41
訃報を聞いたのは、23時2分の智からの電話やった。
『お母さんとお父さんに囲まれて、眠るような安らかな最期だったよ』
｢……そうか。アイツもあんまり具合もよぉないから、もう今日は寝かせてやるわ。わざわざありがとう｣
すばるは通話を切って、寝室に戻る気にはならなくて、冷蔵庫からお茶を出し、注ぎながらため息をついた。
どうやって、章大に知らせよう。
何度も何度も何度も経験しても、アイツの心はどうなっているか分からない。
中学生になった最近は反抗期のようなところもあって、余計に分からない。
章大の友達が死んでしまうのは、少なくともすばるが把握しているだけで18人だ。
人生の８割近くを病院で過ごしている章大。
小児科のお友達は勿論、章大のことを可愛がってくれるおじいちゃんやおばあちゃんも含む。
今回はその中でも、ずっと一緒に闘って来た章大のお姉さん的存在の子や。
章大の3つ年上で、章大が人に甘えることを初めて覚えたんはこの《アヤねぇ》だったと潤に聞いた。
すばるより章大と付き合いの長い彼女は、章大と共に、''さよなら''という悲しい思いもしてきた。
こればかりは、あの亮にも分けられない、家族誰一人として、同じ思いはできない章大の苦しみの一つだから。
誰かが空へと旅立った時は必ず、アヤと二人で手を合わせていた。
けれど、次に早々と旅立ってしまったのはアヤ本人だ。
｢……アヤ……ありがとうな……｣
これからは俺が章大を支えなアカンねんな。
すばるは窓辺から見える星を眺めそう呟いた。
｢アカンかったか。残念やな、えぇ子やったんに｣
ふと振り返れば裕が立っていた。
｢アイツも薄々気付いとったやろし、最近は発作も続いとるから、慎重にな｣
｢そうやねん！問題は……」
章大はついこないだまで入院していて、今は退院しているけど、登校許可はまだ出ていない。
中学になると、小学校よりも家からの距離が遠くなったことや、更には1日の拘束時間も伸びてしまったことが相まって、自宅療養を迫られている今日この頃。
翌日、信五も何も聞かずに、
｢大丈夫や。この経験も大人になる第一歩や｣
ただそう言うて、双子部屋から出てきた。
｢熱が少し有るみたいやけど、早く言うてやったほうがええと思う。
最期はキチンと手を合わせたいやろうしな｣
ポンと肩に手を置かれて、すばるもコクンと頷いた。
｢…………ホンマは大人になんかなって欲しくないけどな｣
裕がその横を通り過ぎていく。
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light(プロフ) - 青磁さん» ありがとうございます(*^^*)了解しました！気長にお待ち頂ければと思います！ (2017年11月8日 16時) (
レス) id: d372c14226 (このIDを非表示/違反報告)
青磁(プロフ) - はじめまして。以前から、章大くんが初めて肺水腫を発症したときのお話が読んでみたいなあと思っていたので、リクエストしてもよろしいでしょうか。もし記憶違いで既に書かれていたらすみません。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: 42ee9097d5 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - リクエスト完結！ありがとうございます！！ (2017年10月9日 16時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - みかんさん» 完結いたしました〜！ご希望に添えれていれば良いですが^^;また遊びに来てください! (2017年10月4日 22時) (レス) id: 803a88353c (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - リクに応えていただき、ありがとうございます！！ドキドキしながら、切なくなりながら読んでおります。 (2017年10月2日 22時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年9月22日 12時
