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五十嵐病院で働くことで、章大を病院に連れてきては小児科の子どもたちと看護師と遊ばせ、体調の悪い日もすぐに診てもらえるという特権を得た久美子も、3年の日々が過ぎた。
しかし。
「…なんだか、安田さん、ザ極道みたいな人につけられてるみたいやで？いよいよ借金でもしたんちゃう？」
「えぇ？そうなん？」
「だって最近、お昼ご飯も、ろくに食べてないみたいやし、章大くんもさ。新しい服着てこーへんやろ？体もおっきくなってきたから、Tシャツの袖が短いまま」
看護師たちのそんな噂をし始めたら、もう彼女に居場所はなくなった。
暫く経って、久美子は浩晃に言う。
「友人のところで働くことにしました。章大のことは…ごめんなさいっ…孤児院で預かっていただけないでしょうか？たまに、顔も出しますから、必ず、いつか迎えに来ますから」
「しょーた、しんどい〜んぅ…おかーん…」
「必ず、迎えに来ます…本当に良くしていただいたのに、ごめんなさい」
数日寝込んでいる章大を、久美子は泣きながら抱き抱えた。
「ええ子にしといてな。お願いします」
そして、差し出した。
「…エレベーターが無駄にならないように、来るべきときにボタンを押せるように…責任を持ってお預かりします」
他に言葉が見つからない浩晃は章大を抱きかかえた。
「いややぁ…おかーん」
「ほら。章大、泣かんの。苦しなるやろ」
それが、二人の最後の会話になった。
顔を出す、と言っていたものの、手紙をよこすだけで、実現しなかった。
衝撃的な知らせが入ったのは、もう手紙すら来なくなって1年経った頃だ。
「…先生！お電話です！…あの〜…すみません、多分、お婆さんなんですけど、なんか方言が独特であんまり聞き取れなかったです。2番に繋いでます！」
事務処理をしていた潤に受付の女性が声をかけた。受話器を手に取って、騒がしいナースステーションで耳を傾けた。
『もしもしぃ？あなた、潤せんせぇですがねぇ？わたくし、安田章大の、祖母のもんですぅ』
「えっ！？奄美の！？…あ、はい、五十嵐です」
『…ええ。ええ。いつもお世話になりますぅ。あのですね、ウチの嫁が…』
章大とそっくりなゆっくりした口調が受話器から聞こえる。
「どうしてそんなことに…」
救えない命。医者は結局何もできない。
潤は章大にどう伝えたらいいかを考えていた。
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light(プロフ) - 青磁さん» ありがとうございます(*^^*)了解しました！気長にお待ち頂ければと思います！ (2017年11月8日 16時) (
レス) id: d372c14226 (このIDを非表示/違反報告)
青磁(プロフ) - はじめまして。以前から、章大くんが初めて肺水腫を発症したときのお話が読んでみたいなあと思っていたので、リクエストしてもよろしいでしょうか。もし記憶違いで既に書かれていたらすみません。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: 42ee9097d5 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - リクエスト完結！ありがとうございます！！ (2017年10月9日 16時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - みかんさん» 完結いたしました〜！ご希望に添えれていれば良いですが^^;また遊びに来てください! (2017年10月4日 22時) (レス) id: 803a88353c (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - リクに応えていただき、ありがとうございます！！ドキドキしながら、切なくなりながら読んでおります。 (2017年10月2日 22時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年9月22日 12時
