《4》 ページ4
もちろん、章大のカルテは残っている。
二度の手術は無事成功に終わり、しかし、予想通り、心臓は全快しなかった。
転院先に連絡を取れば、10月まで入院していて、年末まで定期検診も週1で母子揃ってやってきていたという。
退院時には、心臓移植の話をしたという。
もちろん、章大はまだ小さいし、お金もかかるしで、まだまだ現実味を帯びていないだろうけど、将来はその道しかないことも告げたらしい。
年が明けて、定期検診日に、姿を見せなくなって、連絡がつかなくなっていたらしい。
まぁ、エイトに預けてくれただけよかった。
24時間テレビの時に、エイトのことも知ってもらっていたから、彼女は五十嵐病院と連携のあるエイトにわざわざ預けてくれたのだ。
しかし、五十嵐病院からも潤のプライベート携帯からも彼女と連絡がつかない。
章大はというと、少し栄養失調気味だったのもすっかり体重も増えた。
同い年の子どもと同じぐらいとはいかないが、独り歩きも少しだけできるようになった。
よく笑う章大に、看護師たちはメロメロ。
しかし。
「……元気になったし、お家に帰ろうか…」
浩晃が連れて行ったのは尼崎。
当然ながら、カルテには保険証の住所まで記してあった。
浩晃が再び大阪に帰ってきたのは、残念ながら、一人ではなく、章大もその腕の中にいたが、久美子も連れてきた。
「…ウチで働くからよろしく」
「いや、ウチって！今は一応、オイラのなんだけどな」
智はそう言いつつも、久美子を五十嵐病院のお掃除スタッフとして雇った。章大の保険証の世帯主は父から久美子に変わり、ひとり親医療証まですべて手配した(させた)のも智だ。
和也の説得により、久美子も少しは、笑うようになった。
「…旦那さんのこと、受け入れろなんて、僕は言いません。どうして死んでしまったのかなんてことも聞きません。だから、どうか。どうか、貴方は、生きて。章大くんのために」
頷く笑顔は章大そのもの。
「奄美の加計呂麻島というところに父方の祖母がいます。うちの両親は他界しているので、預かってもらうことも考えました。けど…旦那が死んだのは私の責任ですから」
必死に首を横に降るから、久美子の細い体が折れてしまいそう。
「海は綺麗ですか？僕ね、海岸線見てるだけで酔っちゃう人なの。だから、あんまり行かないのよ〜」
和也は方をくすめて聞く。
「…ええ。あの人は…沖縄の海で息子とダイビングするんだって…そう、言ってました。昔はね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
light(プロフ) - 青磁さん» ありがとうございます(*^^*)了解しました！気長にお待ち頂ければと思います！ (2017年11月8日 16時) (
レス) id: d372c14226 (このIDを非表示/違反報告)
青磁(プロフ) - はじめまして。以前から、章大くんが初めて肺水腫を発症したときのお話が読んでみたいなあと思っていたので、リクエストしてもよろしいでしょうか。もし記憶違いで既に書かれていたらすみません。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: 42ee9097d5 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - リクエスト完結！ありがとうございます！！ (2017年10月9日 16時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - みかんさん» 完結いたしました〜！ご希望に添えれていれば良いですが^^;また遊びに来てください! (2017年10月4日 22時) (レス) id: 803a88353c (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - リクに応えていただき、ありがとうございます！！ドキドキしながら、切なくなりながら読んでおります。 (2017年10月2日 22時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：light | 作成日時：2017年9月22日 12時
