※32. ページ33
大倉に招き入れてもらってヤスの部屋で待っていると、ヤスは顔面蒼白のままトイレから出てきた。
「だ、大丈夫か？」
反射的に頷いている感じのヤス。
その体が傾くを支えようとしてパッとよぎったのは、昨日のすばるの姿。
足が止まってしまって、見かねた大倉が立ち上がった。
「ヤス？こっち向いて?体動かすよ?ベッド行こう。ほら、信ちゃんも手伝って」
最初はビクついていたヤスも、大倉の方を向くと穏やかな表情に変わった。
「お、おん。行くで、せーの」
軽い。持った腕は細すぎるし、確実に大倉は1人で抱えられたと思う。
大倉は気を使ってくれたのか、いつの間にかいなくなっていた。
「…どうや?具合は。湯たんぽ、暑いやろけど、エアコン効いとるから腹抱えとき」
俺はホテルマンに持ってきてもらっていたソレを渡した。ベッドに横になるヤスは目を閉じた。
「ありがと…こうなるん分かってたのに眠くて、アホやったなぁ、昨日の僕〜」
ふふふっと少しだけ、笑うヤス。目は閉じたままだけれども、眉に皺がよっている。
「…ってゆう言い訳や。ホンマはな？大倉がベッドに連れてってくれた後、シャワー浴びたら？って言ってたんも聞こえててんけど、寝たフリしてたんや」
うん、と少しだけ相槌を打つ。
「あんなぁ…一番、辛い、時間、なんよ。1人で、何やっとるんやろ…って。それでも、今までは1回も忘れたことなんて無かった。気持ち悪いし、むしろ、はよはよ!ってソッコー風呂行ってさ…それがな…」
ヤスの目から涙が溢れた。
そっと拭ってやると1つ深呼吸して、口を開いた。
「昨日は皆にバレちゃったんが、ホンマに怖くて、無かったことにしたくてっ…アレは夢やったんやって思いたくって…」
「……ええよ、ゆっくりで」
言いたいことがあるんだろう。
言葉が出てこないのか、ヤスは唇を噛んだ。
「…っ…結局、眠れへんくて…夜中に風呂行ったんや。けど…」
「うん」
俺は無意識に、汗ばんだ前髪を拭ってやっていた。
「服脱いだだけでアカンかった…目の、前…に、あの人が…いる、みたいで。感覚が残ってて、お前の体、汚いなって、言われてるみたいで…自分のんじゃないみたいで…」
ゆっくり、ゆっくりとヤスはそう話した。
「ヤス、ごめん。…俺、お前のこと傷付けた。助けてやれへんかった。でも、話してくれてありがとう」
俺が言うとヤスはやっと目を開いた。
「一緒に頑張ろう。大丈夫や。なんとかなる」
ヤスは静かに頷いてくれた。
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light(プロフ) - みづきさん» ありがとうございます(^o^)次も恐らく安田くんですね（笑）そのときにはまた「好きな小説」と言っていただけるよう頑張ります! (2017年9月19日 21時) (
レス) id: 3b3f1b5c96 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - そら。さん» ありがとうございます(^o^)ウルウルだなんて、嬉しいです。これ以上苦しめるのは心が痛みましたので、ハッビーエンドで（笑）また新しく書き始めるときには遊びにいらしてくださいね (2017年9月19日 21時) (レス) id: 3b3f1b5c96 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - とても好きな小説だったので完結してしまって悲しいです(;_;)ぜひまた安田くんの小説書いてください！楽しみにしてます！ (2017年9月18日 20時) (レス) id: 843d8c558c (このIDを非表示/違反報告)
そら。(プロフ) - お疲れ様でした！メンバーの絆を感じてウルウルしました（笑） (2017年9月18日 13時) (レス) id: 79ad3a88fd (このIDを非表示/違反報告)
そら。(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても大好きな小説だったので更新が終わる寂しさもありますが、ハッピーエンドに終わってよかったです！！ (2017年9月18日 13時) (レス) id: 79ad3a88fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年7月19日 15時
