《2》 ページ42
まず、第一に彼女及び旦那さんには、お金が無い。
まけてやってくれ、と、値切って来やがったのは、俺の大学時代の友人。田中『先生』で。
昔は本当にコイツが産婦人科かよ と思っていたぐらい暗くて、女受けも悪い奴。
ただし、腕はピカイチで憎めない存在。
そんな彼からの紹介状は一言一句無駄がない。
俺らが金がないと言われたら、受け入れるしかないのを知ってる田中は、俺の知っている中で和也の次に金にうるさい。
「それでは検査していきますね。楽にしていてください」
潤が笑って、安田さんは少しだけ頷いた。
「うん、やっぱり安田さん本人の心臓は問題ないようですね…この心音は胎児のもので、間違え有りません」
産婦人科の先生にそう言いながら、カルテを見せる潤。
すぐ後に、また戻ってきたカルテには、胎児に何らかの原因で心疾患が有ることが記された。
「……どう言おうかな…」
潤は1人で呟いた。
24時間TVのスタッフの方に、俺は状況を伝えた。
安田さんに申告するところを撮らせてくれ、ということだった。
もちろん、守秘義務というものがあるため、ご本人の了承を得なければならない。
「潤、お前が決めるんだ。どう告げるのがベストなのか、間違いはあっても正解は無いから」
潤は真っ直ぐな目で俺に頷いた。
潤はまたその真っ直ぐな目で患者と向き合っていた。
「胎児の心臓が何らかの原因上手く形成されておらず、心音も良好とは言えません」
「な、なんでっ…良くなるんですよね!？」
安田さんは、関西弁のイントネーションで、向かい合う潤と産婦人科医を交互に見た。
俺は、カメラマンの横に黙って並んだ。
「原因は今の段階では、はっきりと出すことができません。染色体異常が原因なら、他にも症状が現れる可能性が高いですが、産まれてきてからでないと分かりません」
「染色体…異常…？」
「皆さんが良く知っている代表例ではダウン症などの障害が考えられます」
安田さんの手が震えていた。
「心臓病の原因は様々に有ります。まずは無事に生まれてきてくれることを願いましょう。僕たちも全力を尽くします」
潤は続けて話し、頷いた。
「無事に…産まれてこれない…可能性が有るんですね」
彼女には以前、流産の経験があった。
男であり、親の存在に縁がない俺には到底、分からない彼女の傷。
そこからは産婦人科医が説明をした。
安定した日を見つけ帝王切開になることなどを聞いたあとには、涙が止まらなくなっていた。
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light(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます!少し長くなってしまいましたが、そう言ってもらって嬉しいです！2章もよろしくお願いします(*^^*) (2017年9月23日 11時) (
レス) id: 803a88353c (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 「あ」何度も何度も読み返しています。何度も読んでもよいです！ (2017年9月22日 20時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - みかんさん» お気遣いありがとうございます!まずは今のお話を完結させますので、お楽しみにしていてくださいね! (2017年9月15日 23時) (レス) id: 3b3f1b5c96 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - 奏空さん» お久しぶりです(｡>艸<)ありがとうございます！了解しました〜知識が無いので難しいですが、頑張ります。お待ちくださいね (2017年9月15日 23時) (レス) id: 3b3f1b5c96 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 早速ありがとうございます。続きを楽しみに待ちます！そして、今回のお話が終わったら他の方のリスエストへ移っても大丈夫なのです！どのお話も楽しみにしています！ (2017年9月15日 1時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年7月9日 17時
