《5》 ページ17
裕が章大の病室に入ると、和也がそこにいた。
「…大丈夫ですか？」
「あぁ、すばるなら家で寝てる」
「タバコの匂いしますけど」
裕はもう答えられなかった。
「初めてのことで混乱したでしょう。僕に一報届いたのは、3人の負担軽減のためですよ。亮ちゃんでも、ましてや忠義くんや隆ちゃんでも無くて」
裕は黙って聞きながら、濡れた傘を立てかけて、持ってきた荷物を棚にしまっていく。
「章大くん、お昼ご飯は食べそこねちゃったから、さっき潤くん特性イチゴのヨーグルト食べたとこです」
熱も落ち着いてきたようではあって、ほんのり顔が赤いものの、穏やかな表情の章大。
「…すばる、安心したんやて。そんな自分が嫌やねんて」
「最初から完璧な父親なんていないから。でも、1つだけ、約束してほしいことがあるの」
ん？と裕は顔を上げた。
「一人にならないで。そして、一人にしないであげて。そばにいてあげて。家族が一緒にいられることは奇跡なんです」
裕は和也のその真っ直ぐな目から思わず目を逸らした。
「知ってます？エイトレンジャーのエンディングテーマ曲」
和也が指差す方向には、章大をグルグル巻にしていたあのバスタオルが乾かされていた。
「章大くんがね。ご飯食べながら口ずさんでたの。すっごいいい歌だから、聞いてみてよ笑」
和也は病室を出て行った。
もう面会終了の時間だ。
結局、章大は眠ったまま。
玄関を開けると、誰も迎えてくれなくて不貞腐れながらも、裕は和室から漏れてくる声に気付き、少しふすまを開けてみる。
「一筋の光があるなら〜」
亮がすばるの横に並んで寝転んでいた。
「君をひとりにはしないから〜♪」
あぁ。ホンマやな、和。
ふすまを静かに閉めると信五がビールを持っていた。
「おかえり。一杯どうや」
「たつと隆は？」
「寝てもうた。エイトレンジャーごっこしすぎて、疲れてたわ 笑」
裕は頷いて二人で2階に上がり、ベランダに出る。
「子どもたちのこと任せっきりで悪かったな」
「何やねん。笑 そんなん、俺は運転出きひんし、雨ん中行ったり来たりありがとうな」
さっきまでが不思議なぐらいピタッと止んだ雨が、もう一度降ってくれたらこんな照れくさいセリフも消し去ってくれたのに。
見上げた空は 僕を見てまた ちっぽけだと笑った
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タイトルが同じ作品があり、区別のためサブタイトルつけました。
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light(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます!少し長くなってしまいましたが、そう言ってもらって嬉しいです！2章もよろしくお願いします(*^^*) (2017年9月23日 11時) (
レス) id: 803a88353c (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 「あ」何度も何度も読み返しています。何度も読んでもよいです！ (2017年9月22日 20時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - みかんさん» お気遣いありがとうございます!まずは今のお話を完結させますので、お楽しみにしていてくださいね! (2017年9月15日 23時) (レス) id: 3b3f1b5c96 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - 奏空さん» お久しぶりです(｡>艸<)ありがとうございます！了解しました〜知識が無いので難しいですが、頑張ります。お待ちくださいね (2017年9月15日 23時) (レス) id: 3b3f1b5c96 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 早速ありがとうございます。続きを楽しみに待ちます！そして、今回のお話が終わったら他の方のリスエストへ移っても大丈夫なのです！どのお話も楽しみにしています！ (2017年9月15日 1時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年7月9日 17時
