《4》 ページ16
「まっ、しばらく入院だな」
呆気無く、すばるはそう言われた。
「…そろそろ詳しい検査したいとも思ってただけだから。心配しないで」
潤はすばるが返事をしないので、ショックを受けたのだと捉えたらしい。
「…ご飯、食べておいでよ。横が荷物持ってきてくれるんでしょ？そんな顔してたら章大が不安がるよ」
気が付けばお昼時。すばるは診療室を出た。
五十嵐病院ではカフェもあれば、コンビニだってある。
だけど、すばるは土砂降りの中を歩いていた。
ある程度荷物をまとめ、家でご飯も済ませた裕は信五とすばるの連絡を待つが音沙汰がない。
「…亮、お薬のんだ？」
「うん！オレ、隆ちゃんみたいにお薬イヤイヤ言わへんもん！」
裕は笑った。
しばらく亮の隆平が風邪を引いたときの話をするので、そのまま聞いていた。
一方、忠義と隆平はエイトレンジャーごっこ。
「ひっさつぅ！さつまあげレッグ！」
「やったな？いけ！なにわのにくだんエルボー！」
信五は必殺技の名前のセンスに爆笑しながら、2人が取っ組み合うのを見ていた。
そんな時だ。インターホンが鳴る。
「りょおがでる！」
この頃の亮はハンコを押すことにハマっていて、3種類の苗字の印鑑を持って、郵便物を受け取るのが好きだった。
走って行った亮を追いかけると、ずぶ濡れで呆然としたまま玄関に立つすばる。
「おまっ、歩いて帰ってきたんか！傘も刺さんと！？アホちゃうか！？」
歩いたら1時間はかかる。
雨だったら1時間半ぐらいかかってしまっても仕方ないぐらいの距離。
信五は乱暴に畳んだばかりのバスタオルをすばるにかけた。
「すばるくん！お風呂はいらんと！」
お湯はりは隆平の仕事だ。風呂場に走って行った。
亮は不安そうな忠義の手を握っていた。
「そ、そやな。とりあえず、暖まってこい」
裕が告げてもすばるは雨に濡れたまま、そこに立っていた。
「…俺なぁ？…章大が入院してホッとした」
口を開いたと思えばそんなことを言うすばる。
「病院におったら何かあっても安心やん。俺らの少ない知識で薬飲ませたり、ご飯食べさせたりするわけとちゃうから、俺に責任なんてないやん」
すばるは肩のバスタオルを頭から被り直した。泣いているのを隠したのだと信五も裕も分かっていた。
隆平が戻る。
遠くでお湯が溜まる音と雨の音が混ざる。
「そんなん思ったらアカンのにっ。安田さんって呼ばれて反応する章大に、俺は何もしてやれへんねんっ！」
静かにそう叫んでいた。
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light(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます!少し長くなってしまいましたが、そう言ってもらって嬉しいです！2章もよろしくお願いします(*^^*) (2017年9月23日 11時) (
レス) id: 803a88353c (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 「あ」何度も何度も読み返しています。何度も読んでもよいです！ (2017年9月22日 20時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - みかんさん» お気遣いありがとうございます!まずは今のお話を完結させますので、お楽しみにしていてくださいね! (2017年9月15日 23時) (レス) id: 3b3f1b5c96 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - 奏空さん» お久しぶりです(｡>艸<)ありがとうございます！了解しました〜知識が無いので難しいですが、頑張ります。お待ちくださいね (2017年9月15日 23時) (レス) id: 3b3f1b5c96 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 早速ありがとうございます。続きを楽しみに待ちます！そして、今回のお話が終わったら他の方のリスエストへ移っても大丈夫なのです！どのお話も楽しみにしています！ (2017年9月15日 1時) (レス) id: 7c86a26d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年7月9日 17時
