48.【兄貴】 ページ48
隆平がLINEをしてから5分もせずに、電話がかかってきた。
こういう時、個室で良かったと章大は思っていた。
「…もしもし？りゅーちゃん？」
〚もしもし？あぁ、大丈夫？体調は？〛
その声を聞いただけでもう泣きそうになっている自分がいて、ボーッとする頭で、章大は反射的におんと答えた。
「今どこおるん？すばるくん、怒ってた？」
聞きたいことが山ほどある。
横になっているのが苦しくなって、半ば強引に起き上がりながら、章大が尋ねた。
〚公園のベンチっていう何のボケも無いありがちな場所やで 笑〛
「1人？」
〚おん。すばるくん、やけ酒をたつに飲ませてたで？帰ってきた時もめちゃくちゃ怒ってたけど、まぁ飯食ってたから大丈夫やろ〛
やっぱり怒っとるんや…
病院での口喧嘩を思い出しながら、章大は話を聞いていた。
「…俺さ、自分の気持ち話すんが精一杯で…すばるくんに言い返せへんくて」
〚珍しいな？…章ちゃん、頭良いから口喧嘩強いんに〛
自分の心臓の音がやけに大きく早く聞こえてくる。隆平の笑い声はだんだん小さくなっていった。
「…ちゃう…親とまともに喧嘩出来るような…体力が…持たんくて…」
あがってきた息を整えたくて、章大は静かに息を吐いた。
「俺、どうしたらええの…？何もできひん」
隆平の返答は無い。当たり前だ。こんなこと言われても迷惑なだけだろう。そう章大は思った。
「ハァ、ごめん。もう切るね」
〚あぁ、待った！待った！何でや〜兄ちゃんは頼ってくれて嬉しいんやで？〛
章大は知らぬ間に涙が溢れた。
章大にとって兄は隆平一人だけ。
「俺っ…俺っ…ずっと…亮じゃない誰かに、言いたくて言いたくてしゃーなくってっ…」
亮から隆平は本当のことを知っているだろうと聞いた時、章大は何かがはち切れた。
今まで、余命が長くないことを知っていながら、章大が知らないふりをする辛さを共有できたのは亮だけ。隆平に話したい時もたくさんあったが、必死に守り抜いていたのに。
〚…俺、何もできひんけどな？章大の気持ち、誰よりもわかってるからさ。もう、お前、ワガママ言ってええんちゃう？〛
久々に聞いた兄貴口調と呼び名に、精一杯の弟らしい返答をする。
「隆ちゃんっ…俺、とりあえず…とりあえず、でええから…ホンマの気持ち、…伝えたい」
章大は大きく息を吸い、そして吐いた。
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light(プロフ) - 奏空さん» 初めまして(^^)本当に少しずつですが、全貌が明らかになってきます！読み返すと繋がっていたりするはずなので、また来てくださいね。ありがとうございます！ (2017年3月20日 8時) (
レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
奏空(プロフ) - 初めまして。話に一気に引き込まれ更新を楽しみに、いつも読ませていただいてます!! 少しずつ登場人物の背景が見え始め、ますます続きが気になってます(＞＜) 大変だとは思いますが、頑張って下さい ！ (2017年3月20日 0時) (レス) id: 90bfce9f42 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - パンジーさん» こんばんは(^^)コメントありがとうございます！引き続き更新頑張ります。応援よろしくお願いします！ (2017年3月19日 23時) (レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
パンジー(プロフ) - とても面白いです。今のままで大丈夫だと思いますよ。 (2017年3月19日 21時) (レス) id: 700a76e6c1 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - 章々さん» こんばんは(*^^*)コメントありがとうございます！嬉しいお言葉！ズルズルとハマっちゃって下さい（笑）頑張ります。 (2017年3月16日 23時) (レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年3月12日 10時
