33.【揺れる】 ページ33
出稼ぎに行く前に、皆で見舞いに行くことにする。
9時頃になってようやく面会時間なので、あわせて家を出た。
「章ちゃん、起きてるかな」
「亮ちゃんのことが心配で起きてるんちゃう？さっきの亮ちゃん見たいに 笑」
4人乗りの車には乗れないので、隆平は亮をバイクの後ろに乗せてそういった。
昨日、点滴でずっと寝ていたこともあり、亮は病院から帰ってきて一睡もしなかったのだ。
「だってさ！ICUやから後でなってすばるくん、章ちゃんの顔も見せてくれへんかったんやで？そりゃ心配で心配でしゃーないわ」
「顔見たって帰れへんやろ？…すばるくんやて色々と考えてんねんから〜」
隆平は笑った。少し間が空く。
「…隆ちゃん、やっぱり何かあったん？」
こういう時だけやたら素直な反応を示す亮の天然さも、隆平の口を開かせはしない。
「あ、分かった、彼女にフラレたんやろ？」
的外れな解答に笑えるはずもなく、返答のない隆平に、亮はスネた。
隆平の頭の中は今、先日の宣告のことしか頭に無いのだが、決してそこから出してはいけないことも分かっていた。
「ちゃうわ、アホ」
ふーん、と亮はバイクに揺られながら、まだスネていた。
一方、忠義は救急車内での話を3人にする。
「もうさ、最初は亮ちゃんのことばっかり呼ぶねん、アイツ！俺、たつやで〜て言うてたら、急に泣き出して、謝ってくるしやな…」
忠義は何てことのないように話した。
実際、何も知らない彼にとっては、病気の兄貴のよくある発作なのだ。
「でも、急に苦しんでそっから意識ぶっ飛んじゃってさ？章ちゃんの手めちゃくちゃ冷たくて、死んじゃうかとおもったで。ホンマに怖かったんやで！？」
また少し泣きそうになっている忠義の頭を、隣に座る信五が撫でる。もう年なのか、もらい泣きまでしそうになる。
「なぁ、章ちゃん、入院長引くぅ？はよ帰ってこれるん？」
「何でそんな事聞くねん」
信五が答えないので、裕が口を開く。
「だってさ、俺…フェスまで頑張るんが目標やな〜とかいうてもうたもん。その時も絶対、章ちゃん具合悪かったんやろ？はぁ〜」
忠義はだんだん声が小さくなっていく。
「…章大を信じるしかないで」
裕の返答も、忠義には肯定にしか聞こえなかった。やたら多く詰めた章大の荷物が、交差点で揺れる。
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light(プロフ) - 奏空さん» 初めまして(^^)本当に少しずつですが、全貌が明らかになってきます！読み返すと繋がっていたりするはずなので、また来てくださいね。ありがとうございます！ (2017年3月20日 8時) (
レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
奏空(プロフ) - 初めまして。話に一気に引き込まれ更新を楽しみに、いつも読ませていただいてます!! 少しずつ登場人物の背景が見え始め、ますます続きが気になってます(＞＜) 大変だとは思いますが、頑張って下さい ！ (2017年3月20日 0時) (レス) id: 90bfce9f42 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - パンジーさん» こんばんは(^^)コメントありがとうございます！引き続き更新頑張ります。応援よろしくお願いします！ (2017年3月19日 23時) (レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
パンジー(プロフ) - とても面白いです。今のままで大丈夫だと思いますよ。 (2017年3月19日 21時) (レス) id: 700a76e6c1 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - 章々さん» こんばんは(*^^*)コメントありがとうございます！嬉しいお言葉！ズルズルとハマっちゃって下さい（笑）頑張ります。 (2017年3月16日 23時) (レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年3月12日 10時
