31.【気まずい】 ページ31
亮は誰かが話しているのが聞こえて、とっさに起き上がった。
「…まぁ、まずはさ…」
「でも！」
遠くで、声が2つ。
ここは病院で、且つ、和也の特別診療室なのだと気付く。
「あーもう、なんなんだよっアイツはっ」
その声が確実に翔の声だと気付いた亮は、カーテンを捲り、点滴を引き抜く。
ベッドから降りて、靴を履くと、その音で仕切りの向こうから和也がやってきた。
「ちょ、何勝手に。もうっ！せっかく整形の先生が腕、治療してくれてるのに。跡になるでしょうよ？」
「別にこれぐらい…」
亮は流れる血を見ることもなく仕切りの向こうへ顔を出す。
そこには診察台に座り、咳をする潤と頭を抱えた様子の翔。
「ちょ！二人してここで何してんねん！章ちゃんは！？大丈夫なん！？」
亮の目には《章ちゃんの担当医》しかうつらない。
「大丈夫。もう、目も覚めたらしいから」
潤の言葉に、亮は大きく安堵の声をもらした。
亮がヘナヘナと座り込みそうになるのを和也は支えた。
「…腕、消毒しなくちゃな。章大、しばらく入院になると思うけど、昨日の緊急手術は成功したよ」
翔はそう言いながら、消毒液やガーゼを取り出した。
「あのね〜アナタ、章大くんと自分自身とは、一生付き合ってかなきゃいけないんだからね」
真剣な眼差しの和也が、潤の座っていたところに亮を座らせた。
その時、静かに診察室の扉が開き、亮に顎でそちらを見るよう示した。
「…もちろん、彼ともね」
和也がカルテを持って奥に入っていった。
ナースに連れられたすばるは、亮の視線に気付かないフリをした。
「…ありがとうございました」
誰に向けた言葉なのか、すばるは頭を下げて、ゆっくりと入ってくる。
「なんできたん。俺、大丈夫やで。何で、っ…何で章ちゃんのそばにおらんねん」
「ごめん」
すばるがそれ以上何も言わないことを亮は分かっていて聞いている。見兼ねた翔が口を出す。
「循環器科からご家族の方にお話があるんで、落ち着いてお話できる時間を作ってくださいね」
翔は、お大事に。と礼をした。
「…帰るで。亮、帰ろう」
ずっと俯いていた亮は目の前にすばるがしゃがみこんで、下から覗かれたことに照れたのか、少し顔が赤くなった。
「絶対こんと思った」
「…遅くはなるけど、俺は絶対にお前を置いていかんて、約束したやろ」
互いにまた顔を赤らめ合うので、まるでそれは若い男女のようだが、間違えても彼らは父子である。
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light(プロフ) - 奏空さん» 初めまして(^^)本当に少しずつですが、全貌が明らかになってきます！読み返すと繋がっていたりするはずなので、また来てくださいね。ありがとうございます！ (2017年3月20日 8時) (
レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
奏空(プロフ) - 初めまして。話に一気に引き込まれ更新を楽しみに、いつも読ませていただいてます!! 少しずつ登場人物の背景が見え始め、ますます続きが気になってます(＞＜) 大変だとは思いますが、頑張って下さい ！ (2017年3月20日 0時) (レス) id: 90bfce9f42 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - パンジーさん» こんばんは(^^)コメントありがとうございます！引き続き更新頑張ります。応援よろしくお願いします！ (2017年3月19日 23時) (レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
パンジー(プロフ) - とても面白いです。今のままで大丈夫だと思いますよ。 (2017年3月19日 21時) (レス) id: 700a76e6c1 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - 章々さん» こんばんは(*^^*)コメントありがとうございます！嬉しいお言葉！ズルズルとハマっちゃって下さい（笑）頑張ります。 (2017年3月16日 23時) (レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年3月12日 10時
