22.【2つ目】 ページ22
隆平は言われたことの意味が分からず、信五の方へ、疑問の顔をした。2つ目？
「昨日は何も無かったからええけど、もし、章大に何かあったらどないしてた？」
信五の言葉に思わず視線を落とした隆平に、怒ってへんから大丈夫やで。とすばるの耳打ちが入る。
「お前には責任取られへんのに、兄として自分責めるんちゃう？」
信五の柔らかい口調は本当に怒ってはいないようだ。また、隆平はこくこくと頷くしかない。
「責任とるんは裕になる。お前の親やから。ホンマは…こんなこと言いたくないけど、最近の裕の悩みはお前やねん」
ヨコではなく裕と呼ぶ信五の真剣さは、隆平の目に涙を溜めた。
隆平は至って普通の優等生でいたはずだ。
それもこれも、全てはここまで育ててくれて、高い学費払って大学まで行かせてくれた父に迷惑をかけないために。
「俺の教育が悪かったんやないかなとか、いっぱい勉強させてやりたいのに、十分な小遣いあげれんからバイトもさせてしまってる、とか」
「そんなん、俺はやりたいからやってるだけやし、小遣いなんてアレだけで十分やで？」
すばるまで何を言うのだと言わんばかりに、隆平はその手を払いのけ、立ち上がった。
「それは裕も頭では分かってる。けど、昨日みたいなことがあると、裕が責任感じてしまうんや」
「…アイツは、親父みたいに、子供に手をあげてまうんやないかって、自分が嫌やねん。章大のことに限らず、もうすぐオカンの命日やから…この話は何回もしてるやろ」
信五に続くすばるに隆平は背を向けた。
5月は色々と心配事が多いのも、我が家の複雑な事情もきちんと分かっているつもりだ。
「…俺、これ以上何すればええねん。努力だけはいっぱいしてるで？」
「そのままでおってくれ。笑ってくれ」
信五が目の前に立って、知らぬ間に溢れた涙を拭ってきた。
「ほんで…生きててくれさえいればええ」
隆平の背中をポンと叩いたすばるが部屋を出て行く。
「…何やねんお前ら…そんなことまで話すなんて聞いてへんでっ…っ…」
「2つ目の方が、アイツにとっては大事な話や」
オレンジ扉の横で泣いている裕に目も合わせず、すばるは自室に戻った。
「今日はソッとしといたれ。かなりヘビーやったからな」
続いて出てきた信五も裕に目を合わせることはなかった。
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light(プロフ) - 奏空さん» 初めまして(^^)本当に少しずつですが、全貌が明らかになってきます！読み返すと繋がっていたりするはずなので、また来てくださいね。ありがとうございます！ (2017年3月20日 8時) (
レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
奏空(プロフ) - 初めまして。話に一気に引き込まれ更新を楽しみに、いつも読ませていただいてます!! 少しずつ登場人物の背景が見え始め、ますます続きが気になってます(＞＜) 大変だとは思いますが、頑張って下さい ！ (2017年3月20日 0時) (レス) id: 90bfce9f42 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - パンジーさん» こんばんは(^^)コメントありがとうございます！引き続き更新頑張ります。応援よろしくお願いします！ (2017年3月19日 23時) (レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
パンジー(プロフ) - とても面白いです。今のままで大丈夫だと思いますよ。 (2017年3月19日 21時) (レス) id: 700a76e6c1 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - 章々さん» こんばんは(*^^*)コメントありがとうございます！嬉しいお言葉！ズルズルとハマっちゃって下さい（笑）頑張ります。 (2017年3月16日 23時) (レス) id: 23f6197312 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2017年3月12日 10時
