《2》 ページ30
深夜になって、呼吸は安定してないものの、薬は効いたのか、意識を失うように寝てしまった章大。
ボーッと、その姿を眺めていると、
｢すばる、話がある｣
潤と翔がやって来て、翔がすばるを病室から連れ出した。
とはいえ、章大も苦しくて眠りは浅く。
｢……起きたか｣
潤が点滴をいじっていると、少しだけ目を開いた。
｢……すばるくんは……｣
｢仮眠取らせたとこだよ｣
潤は嘘をついた。
すばるは翔たちとアメリカでの移植の話をしている。
｢っ、はぁっ……カラダ、起こしてくれへん？｣
｢……何するんだ？今無理したら…｣
潤は机を引き寄せようと起き上がるのを手伝う。
｢無理したってしなくたって人は死ぬから……｣
潤は、仕方なく、その言葉に従った。
言われた通り、章大のリュックの中には、筆記用具と便箋が入っていた。
｢ﾊｧﾊｧ……っ、ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ｣
章大は震える手でボールペンを持っておくことに精一杯で、
黙って背中をさすってくれる潤に、お礼のひとつも言えなかった。
_______________ガタッ
｢っ、んくっ……はぁっ……｣
机が音を立てて、前屈みになる。
章大は何とか腕で机に肘を着き、倒れそうな体を支えていたが、思わず力が入らなくなって、そのまま伏せてしまう。
｢章大っ、ちょっと休もう。な、？｣
｢アカンっ……ﾊｧﾊｧ……嫌や｣
ギューっと、布団を握りしめる章大。
｢ったく、よいしょ、と。
ほら。これで少し楽だろ。｣
枕とベッドの角度を変えて楽な姿勢にしてくれる潤。
｢……何度も、手紙を預かったことがある。｣
章大が書いたものを封筒に入れるのを見つめながら、潤はそう言う。
｢殆どが、子供や奥さん旦那さんとか、家族に宛てたもの。
身寄りのない人でも、職場の人だったり、ご友人だったり｣
6枚の封筒を眺めて、もう終わりだ。と机を元の位置に動かす。
｢……だけど、心臓病の人は急死することも多い。
…俺は発作で苦しんだ後、気付いた時には違う心臓を持っていた。
後悔のないように、やりたいことをやって欲しい｣
章大は、何かを応えようとしたけれど、聞き終えると同時に意識を飛ばしてしまった。
｢……どーすんだこれ……｣
潤は仕方なく、机の上に放置されたままの便箋と、封筒をスタッフルームの自分のデスクに持ち帰った。
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light(プロフ) - mayufujiyoutomoさん» いつもリクエストありがとうございます！励みになります。次回もまたよろしくお願いします^^ (2019年6月10日 12時) (
レス) id: e738b598a3 (このIDを非表示/違反報告)
mayufujiyoutomo(プロフ) - 今回の更新も期待通りの作品でした。毎回lightさんの更新楽しみです。 (2019年6月10日 11時) (レス) id: e94c7fe551 (このIDを非表示/違反報告)
mayufujiyoutomo(プロフ) - 更新楽しみにしてます。 (2019年3月31日 15時) (レス) id: b681088b76 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - mayufujiyoutomoさん» お返事がハチャメチャ遅くなってすみません(><)コメントありがとうございます！ｺﾄﾞｳﾉｵﾄらしく終われたかなと思います！またの更新お待ちください！ (2019年3月31日 9時) (レス) id: e738b598a3 (このIDを非表示/違反報告)
mayufujiyoutomo(プロフ) - せつないお話しありがとうございました。涙しながらも、最後章ちゃんの手紙の内容を覚えてないというおちにほっこりしました。次回の更新も楽しみにしてます。 (2019年3月20日 0時) (レス) id: e94c7fe551 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2018年5月20日 9時
