ep2∞.君のHappy Birthday《リク》 ページ13
「一緒に話そか？」
裕はそう尋ねたが、すばるは首を横に振った。
「ほな、車におるから」
カバンに大量に詰まった着替えを持って、裕は歩き出した。
すばるが病室の取手を静かに引く。
真夜中、小児科病棟の一室で、今回は4人部屋。
しかし、章大のベッドのカーテンの中だけが明るい。
「章大くん。1人で寝れるかな？？
寝たらスグにしんどいの無くなるで〜？」
今度はカーテンを静かに引くと、泣きべその章大と、宥めている看護師さん。
「すみません。遅くなりました」
すばるは、ふぇーっと手を伸ばしてきた章大をよそに軽い会釈をする。
「……いえ……じゃあね、章大くん。
朝また様子見に来るからね」
看護師はそれだけ言って、可哀想な目をして、その場を離れた。
「……章大、お話がある。」
すばるはスグに、ベッドの横に座った。
章大は伸ばした手を引っ込めて、
「なぁにぃ……？」
すばるに背を向けてしまう。
「……もう少し具合が良くなったら、帰ろうな。
まだ章ちゃんの体しんどいやろ？」
「…………しんどい、なぃもん」
すばるは少し息を吐いた。
最初から、根拠の無いことを言わなければ良かった。
誕生日には、一時帰宅出来るで〜
そういった矢先、大きな発作があって、帰宅どころか、せっかくの誕生日を朦朧としたまま過ごした章大。
数分後に迫るすばるの誕生日も、外出許可は出ない。
「ぅぅう……んんー、いやぁ」
んー。と声を出しながら、ずっと付いたままの鼻下の酸素チューブを外そうとする。
「アホっ、何してんねん。」
「はぁ、んっ！おうち帰りたいぃ、ハァハァ」
「もぉ、ええ加減せぇよ、苦しいやろ」
おいでと章大の脇に両腕を入れるすばる。
口で苦しそうな呼吸をしながら、章大はすばるの肩に頭を乗せて、膝に跨った。
「……ふぇ……んっ、んっ……ﾊｧ…」
泣き始めた章大の嗚咽に合わせてすばるが背中を叩く。声をあげることも出来なくて、必死に押し殺すような泣き声の章大に、すばるも泣きそうになるのを何とか我慢する。
気付けば、日付を超えて1時間も経っていた。
果てるように寝てしまった章大をベッドに横たわらせて、布団を掛ける。
「……おめでとう」
裕はそれだけ言って車を発進させた。
「…………ありがとう」
すばるが返事をしたのは、家に着いてからだった。
_________________________
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遅くなったけど、やすばのバースデー企画
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light(プロフ) - mayufujiyoutomoさん» いつもリクエストありがとうございます！励みになります。次回もまたよろしくお願いします^^ (2019年6月10日 12時) (
レス) id: e738b598a3 (このIDを非表示/違反報告)
mayufujiyoutomo(プロフ) - 今回の更新も期待通りの作品でした。毎回lightさんの更新楽しみです。 (2019年6月10日 11時) (レス) id: e94c7fe551 (このIDを非表示/違反報告)
mayufujiyoutomo(プロフ) - 更新楽しみにしてます。 (2019年3月31日 15時) (レス) id: b681088b76 (このIDを非表示/違反報告)
light(プロフ) - mayufujiyoutomoさん» お返事がハチャメチャ遅くなってすみません(><)コメントありがとうございます！ｺﾄﾞｳﾉｵﾄらしく終われたかなと思います！またの更新お待ちください！ (2019年3月31日 9時) (レス) id: e738b598a3 (このIDを非表示/違反報告)
mayufujiyoutomo(プロフ) - せつないお話しありがとうございました。涙しながらも、最後章ちゃんの手紙の内容を覚えてないというおちにほっこりしました。次回の更新も楽しみにしてます。 (2019年3月20日 0時) (レス) id: e94c7fe551 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：light | 作成日時：2018年5月20日 9時
