◆天羽月彦【背中】 ページ4
【疑惑に温もりを寄せた】
見慣れない茶色のコート袖に後ろから抱きつかれた。それが誰だか、暫し考えた後。くるりと後ろを向いて顔を見つめる。あぁ、なんだ。
『天羽くん、おはよう』
「おはよう、A」
寒そうにぶるりと肩を震わせて、そのまま白い吐息を口から溢した。ぎゅっと暖を取るためか、そのまま力を込められて距離が近付く。
こうもマイペースな天羽。ボーダー本部に寄った時なんか、引っ付いて離れてくれないことも多い。ちなみにAは玉狛所属である。
互いに黒トリガー使いであり、SE持ち。年齢も学校もクラスも同じとなれば。必然的に仲良くもなり、一緒に居ることも多くなる。
『今日の授業、赤点取ったら補習だって』
「……何それ」
『昨日、言ってたでしょ。数学の』
「そん時、保健室で寝てた」
『大丈夫なの?昨日の数学、いつもの三倍の量一気に進めてたけど……』
「あー……、ヤバイかも」
なんて言いながら登校中。ずっと女子のように腕を絡めて離さない天羽に言っても、どうせ離してくれないだろう。諦めてそのまま放置。
嫌だ、とは思わないけれど。歩きにくい。それに近いからこう、息づかいが間近に聞こえてきて参る。暖かいしいつものことなのだが。
「おっ、天羽にAじゃん」
「相変わらず仲良しなのな」
『あ、出水先輩と米屋先輩』
「……どうも。行こう、A」
『えっ』
「おいおい、嫉妬かよ」
「連れねぇなぁ」
ケラケラと笑う先輩二人を横目に、足早に立ち去る天羽。引っ張られた手が少し痛い。文句も言わずについていくが、下駄箱についた途端。
「A」
『なぁに、天羽くん』
「……ん」
後ろに回られたと思ったら、服を捲られた。外に晒された肌が冷たくて、恥ずかしさも交じり、小さく悲鳴をあげて後ろの天羽に問う。
『み、見られちゃうよ……!!』
「ちょうど死角だから大丈夫だよ」
軽いリップ音と共に背中に柔らかい感触が走り、捲られていた服も元通りに直してくれる。先輩達と会った時よりは上機嫌になったらしい。
「ね、A」
Aは俺のモノだよね?、
囁かれた言葉に顔を真っ赤に染めた。
(あれ、天羽とA……)
(またやってるの、あれ)
(確かに死角だけど、普通に見ようと思えば見えるからな)
(天羽って独占欲の塊だよね)
(あぁ。ほら、またキスしてる)
とある嵐山隊のできる男と、もさもさしたイケメンの昇降口での会話。
【背中=確認】
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きざみん - こんばんはセニオリスさんの小説好きです。失礼ですけど空閑君って書けますか?書けたらよろしくお願いします。キスの場所はどこでも良いので、出来たらよろしくお願いします。 (2023年2月22日 21時) (レス) id: 4cee241057 (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - イツキ108さん» 此方こそ、返信が遅れて申し訳ないです。あまり期待に応えられていない文章になってしまってすいません。リクエスト有難う御座いました。 (2020年5月18日 22時) (レス) id: 353512f049 (このIDを非表示/違反報告)
イツキ108(プロフ) - セニオリスさん» こんばんは。以前文ストの花言葉のリクエストをさせて頂きました、イツキです。お礼をリクエストさせて頂いたページにと思ったのですが、コメントが出来ず他ジャンルでのページの返信になりご迷惑をおかけします。リクエストのお礼が後れた事、大変申し訳ありません。 (2020年5月7日 19時) (レス) id: ed04064b47 (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - 白縋さん» 了解しました。書ける時に好きなタイミングで書かせていただきます。 (2020年2月24日 11時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
白縋 - リクエスト/キャラ:二宮さん 、カゲ キスの場所:腰 お目通しいただければ幸いです。 (2020年2月24日 3時) (レス) id: cc60f72ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セニオリス | 作成日時:2020年1月2日 10時