◆二宮匡貴【腰】 ページ20
【一抹の淋しさは彼にも】
エンジニアからの帰り道。水度坂Aがボーダー本部内の廊下を歩いていた時だ。ふと、同期の二宮と目が合った。思わず顔が歪む。
苦手なタイプというか、俺様系男子とは前々から気が合わない。この前も成人組でお酒を飲みに行ったら、二宮と口論になったのだ。
「……水度坂」
『あら、二宮さん。そんな気難しそうな顔してどうかしたんですか?』
曖昧な微笑みで誤魔化し、右手の人指し指で唇をなぞるように触れる。ほとんど癖のようなもので、この人と話している時になる。
前に一度その貼り付けた笑みを辞めろと注意されたが、此方にとっては苛つきを抑える安定剤のようなものであり。今更、辞める気はない。
やはり二宮もその微笑みを浮かべた瞬間に眉間に皺を寄せて、やや怒りを籠めたような低い声で返事をした。全く好きになれない。
「うるせぇ」
『女性を気遣えないなんて最低ですね』
「あ“?」
『だから嫌いなんですよ、二宮さんの事』
「……チッ、いい加減にしろよ」
途端に強い力で引っ張られて、廊下をずんずんと歩かされる。抵抗しても、Aは非力な女であり、他の女子と比べて体格も小さい。
つまり必死に叩こうが殴ろうが、自身の身体を反対方向に引こうが体格差で惨敗だ。捕まれた腕に痛みを感じる。なんて乱暴な奴だろう。
『ちょっと、なんで二宮隊の隊室なんかに』
着いた先は二宮隊の隊室。思わず声を上げるも反応はなく、奥に連れられて壁に押し付けられた。いや、何だコイツ。何したいの、マジで。
「……えは、」
『え?』
「お前は勝手にいなくならないよな」
『何を、言って』
柄にもなくか細い声。上げられた顔は今にも泣き出しそうで。此方までつられて悲しくなりそうな雰囲気に、言葉を詰まらせて唖然とした。
これが“射手の王”である二宮匡貴なのだろうか。大きく目を見開いて、肩と腕を捕まれたまま。立ち尽くして見つめ合う。
『……二宮さん。何かあったんですか』
「……Aまで、いなくなるなよ」
『二宮、さん』
「お願いだから、だから……」
体をキツく抱き締められる。肩にムカつくほどにサラサラな髪が辺り、くすぐったい。顔を埋めるな、と文句の一つくらい溢したい。
それは無理な話だった。
(お前まで居なくなられたら)
(俺はきっと、生きていけない)
(だからどうか、側にいてくれ)
腰へのキスは束縛。勿論、彼は。
この後、彼女の腰にキスを落とした。
【腰=束縛】
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きざみん - こんばんはセニオリスさんの小説好きです。失礼ですけど空閑君って書けますか？書けたらよろしくお願いします。キスの場所はどこでも良いので、出来たらよろしくお願いします。 (2023年2月22日 21時) (
レス) id: 4cee241057 (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - イツキ108さん» 此方こそ、返信が遅れて申し訳ないです。あまり期待に応えられていない文章になってしまってすいません。リクエスト有難う御座いました。 (2020年5月18日 22時) (レス) id: 353512f049 (このIDを非表示/違反報告)
イツキ108(プロフ) - セニオリスさん» こんばんは。以前文ストの花言葉のリクエストをさせて頂きました、イツキです。お礼をリクエストさせて頂いたページにと思ったのですが、コメントが出来ず他ジャンルでのページの返信になりご迷惑をおかけします。リクエストのお礼が後れた事、大変申し訳ありません。 (2020年5月7日 19時) (レス) id: ed04064b47 (このIDを非表示/違反報告)
セニオリス - 白縋さん» 了解しました。書ける時に好きなタイミングで書かせていただきます。 (2020年2月24日 11時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
白縋 - リクエスト/キャラ:二宮さん 、カゲ キスの場所:腰 お目通しいただければ幸いです。 (2020年2月24日 3時) (レス) id: cc60f72ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2020年1月2日 10時
