21、家族にならない？ ページ23
椿に手を引かれ、連れてこられたのは小さな水辺の公園だった。
『へぇ…こんな場所あったんだ』
「とっておきの場所だよ」
椿が人差し指を口に当てニコリと笑った。やっぱり…
『そうやって笑ってた方が良いのに…』
「僕はいつも笑ってるよ？」
そんな狂った笑いじゃなくて、悲しい笑いでもなくて…もっと、優しい家族を見るような目で。
『…それより、私に何か用があったんでしょ？』
「少し歩こうか」
そうニコリ笑ったので後に続いた。椿は歩きながら語りだす。
「ねぇ、城谷Aはさ…力が欲しいって思ったことはない？」
椿の言葉は、朝私が願った事だったから驚いた。
『欲しいよ…人間のままの私じゃ、何も出来ないしね』
真昼や御園がやられていても、ただ見つめてる事しか出来なかった。私の返事に、椿がクルリとこっちを向いた。
「じゃあさ…僕の、僕達の家族にならない？」
音で溢れていた空間が一気に、音をなくしたみたいだった。椿の声だけが鮮明に聞こえた。
『えっ…それって』
「僕の下位吸血鬼にならない？そうじゃなくても、僕達の仲間にならない？」
自分が下位吸血鬼になるなんて考えたことなかった。だって、永遠の命なんていらないし…望んだ事もなかったから。
「きっと今のままじゃ、君は傷つくだけでしょ」
椿の提案は悪くはないし、その通りだった。でも、なぜだろ？うん、と首が縦に振れない。
『私に何か出来ることなんてないと思う…それでも』
『私は、真昼をクロを…皆を裏切れないよ』
裏切って、椿の下位吸血鬼なんてなっちゃったら真昼がまた傷ついちゃう。そんなの、もう見たくはないから…
「あはははっ、ははっ。あー、やっぱり君は面白いね」
『それ褒めてる⁈』
「残念だなー…」
そこまで思っていなさそうな声で、椿が笑う。
『でも、椿とは…友達になれないかな？』
「…君、本気で言ってる？」
自分でも結構可笑しな事言ってると思う。
『いや…ほらさ？椿って真昼とかが言う様な悪い奴に見えないんだ。むしろ良い奴？』
「あはははっ、ははっはは！」
私の言葉にお腹を抱えて笑い出す椿。うっすらと目には涙が浮かんでた。
「…良いね。じゃあ、友達だ」
『何それ〜…まぁよろしく』
椿に手を差し出して握手を求めた。椿は少し驚くと笑いながら握ってくれた。
『A…』
「ん？なに？」
『Aで良いから』
その時の椿の顔は嬉しそうに、頬が真っ赤になって笑っていた。
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夜月詩音(プロフ) - 怖憂歌@堕天使さん» 指摘ありがとうございます！今度、一気に見直して直させていただきます^ ^ (2016年9月29日 18時) (
レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
怖憂歌@堕天使(プロフ) - ところどころサーブァンプになってますよー！！ (2016年9月29日 18時) (レス) id: 0b14825069 (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - 閻羅さん» 桜哉の話はティシュ無しでは見られませんよね！← (2016年8月28日 22時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
閻羅(プロフ) - 目から止めどなく溢れ出る塩水。・゜゜(ノД`) (2016年8月28日 22時) (レス) id: e75d33a950 (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます！更新速度は、1日に出来るだけ更新するって感じです^ ^ (2016年8月28日 16時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月詩音 | 作成日時：2016年8月22日 20時
