苦手度23% ページ28
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零先輩から逃げるかの様に廊下を全速力で駆け抜ければものの数分で教室についた。
『失礼します、遅れてスミマセン!』
勢い任せで、ドアを開けて中にいる先生に謝った。
最近、遅刻が多いからなぁ。
怒られるかもしれないと、恐る恐る先生の顔色を伺う。
幸いにも、先生は事情を知っていた様だった。
「おぉ。あと、ドアは優しく開けろ壊れるぞ」
忠告だけですんだ。
その言葉に、はい!っと、返事をして自分の席に座る。
『はぁ…』
一息つくと、さっき零先輩に触れられた場所にまだほんのり熱が篭ってるのに気づいた。
きっと、あの人は気づいてる。
頼りかたを知らず、虚勢を張っていたこと。
温もりに触れて、動揺していた事を。
それなのに、今まで知らないふりをしていたのはあの人なりの優しさだろう。
色んな人の温もりをここに来て知った。
与えられてばっかの私。
私には勿体無いのに。いらないものなのに。
ギュッと手を握ると、さっきまで覚えていた温もりが一気に冷えていく様だった。
指先が冷えて、冷たい。
まるで、氷みたいだ。
『寂しいなぁ』
やっぱり私に温もりは似合わないんだ。
与えられても、きっと駄目にしてしまう。
頭の中で、何かが嘲笑った気がした。
馬鹿だね。
まるで、幼い日の私がそう言ったかの様に手の甲の傷が少し痛んだ。
「転校生、少し良いか?」
手の甲を眺めていると、上から緊張して少し強張った様な声が聞こえた。
顔を上げれば、北斗君達がいた。
『どうしたの?』
顔をあげた私に、少し安堵したのか北斗君はさっきよりも柔らかな声音で続けてきた。
後ろの2人も少し不安気な表情してくる辺り昨日のことについて聞きたいのだろう。
「何か、困ってる事があるんじゃないのか?」
さて、言い訳はどうしようか。
強い眼差しを向けてくる、北斗君を見てまたため息が出そうになった。
幸せ、沢山逃げてるんだろうなぁ…私。
逃げるほど、持ってないけど。
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夜月詩音(プロフ) - 雷月ささめさん» ありがとうございます!過去の話は、自分の中でも特にお気に入りの下だったのですごく嬉しいです^ ^これをきっかけに、流星隊好きが増えてくれたらな…って思ってます! (2016年6月4日 22時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
雷月ささめ(プロフ) - 夢主ちゃんの正義が苦手な理由、過去とか、凄いゾクゾクしました…!流星隊だから気になったんですが見惚れる内容です〜!これからも応援してます! (2016年6月4日 12時) (レス) id: 85dc925e9d (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - 湊さん» ありがとございます!!作った時、面白いのかな?って凄い不安になってたので…そう言っていただけると嬉しいです! (2016年5月25日 19時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します、この作品を読ませていただきました!凄くいい話で、なんというか、もう最高です!!!これからも頑張ってください!応援してます!!! (2016年5月25日 11時) (レス) id: 54cc045c92 (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - 竜さん» ありがとうございます!自分でも書いてて、こういう人って実際にいたりするのかな?とか思ってましたw更新も、なるべく早く出来るように頑張ります( *`ω´)b (2016年5月17日 21時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月詩音 | 作成日時:2016年5月1日 22時