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苦手度14% ページ18




「…俺達、転入生さんの気に触る事しましたか?」


黙り込む私に少し強め口調で、意味がわからないと首をふる高峯君。

ないよ。君達に非なんてないんだ。
私の、一方的な気持ちなんだ。


「俺達は、転校生さんと仲良くしたいっす!」


ニコッと人懐こっい笑顔を浮かべる南雲君。

ごめんね、無理だよ。
だって、私君達のそんな思い受け取れるほどいい子じゃないから。



「もう一回頼もう。プロデューサーしてくれないか?」


守沢さんの赤い瞳が私の視線と合う。
綺麗な瞳。私なんかと、比べ物にならない程澄んでる。

その瞳を見ていたら胃から何かが、込み上げてくる感覚が襲ってきた。

あぁ、これ以上この人達といたら


『無理です』


可笑しくなりそうだ。

今度ははっきり聞こえるように断って鞄を掴み、UNDEADの元へ行こうとする。


「転校生は、何にそんなに怯えているんだ?」


進もうとした足は止まった。


『怯えてる?そんな訳ないじゃないですか?』


こんなの、反応しちゃ駄目なのに。
反応したのはきっと、弱い自分を守るため。


「じゃあ、何で俺達を避ける?」


その問いに答えれず、俯くことしか出来ない。


「俺には、転校生が何に怯えているのかわからない。だけど、力になりたいと思っている」


『…どうして、ですか?』


馬鹿だ。答えなんて、予想できるじゃないか。

だって、この人達は物語の主人公。
正義のヒーローなんだから。


「俺達は、ヒーローだからな!」


あぁ、聞かなきゃ良かった。


『ばっかみたいっ…』


思わず出た言葉は、さほど大きくなかった筈なのに教室にはやけに大きく響いた。


「え、転校生?」


私の変わり様に、驚いたのか流星隊の皆が目を見開く。


『はっきり言います。私は、貴方達が苦手です』


だけど、私の口はもうストップをかける事も出来ない。


『正義だとか、ヒーローだとか、私は嫌いです。だから、それを掲げてる貴方達が苦手なんです』


初めてだった。
こんなに、自分の気持ちを言ったのは。


『ヒーローだの、力になるだの安っい言葉…』


ずっと、ずっとその言葉を言われるたびに思っていた。

どうせ、助けに来ないんだ。
どうせ、突き放すんでしょう。
最初からそんな言葉は与えないで。


『私は、いらない』


いらない期待をしてしまうから。


流星隊の皆の顔を見ずに、今度こそ教室から早足で出る。


そのまま、廊下を走り抜けた。

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設定タグ:あんさぶるスターズ , 流星隊 , 夜月詩音   
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夜月詩音(プロフ) - 雷月ささめさん» ありがとうございます!過去の話は、自分の中でも特にお気に入りの下だったのですごく嬉しいです^ ^これをきっかけに、流星隊好きが増えてくれたらな…って思ってます! (2016年6月4日 22時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
雷月ささめ(プロフ) - 夢主ちゃんの正義が苦手な理由、過去とか、凄いゾクゾクしました…!流星隊だから気になったんですが見惚れる内容です〜!これからも応援してます! (2016年6月4日 12時) (レス) id: 85dc925e9d (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - 湊さん» ありがとございます!!作った時、面白いのかな?って凄い不安になってたので…そう言っていただけると嬉しいです! (2016年5月25日 19時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します、この作品を読ませていただきました!凄くいい話で、なんというか、もう最高です!!!これからも頑張ってください!応援してます!!! (2016年5月25日 11時) (レス) id: 54cc045c92 (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - 竜さん» ありがとうございます!自分でも書いてて、こういう人って実際にいたりするのかな?とか思ってましたw更新も、なるべく早く出来るように頑張ります( *`ω´)b (2016年5月17日 21時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜月詩音 | 作成日時:2016年5月1日 22時

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