苦手度12% ページ16
*
アドニス君と、視線が合う。
自分の手から教科書が落ちた。
慌てて、拾おうと手を伸ばすとまた…アドニス君が声を掛けてきた。
「さっき、何かあったのか?」
のばした手をとめる。
だけど、視線を床から上に上げる勇気がない。
顔は、見えないけどきっとアドニス君は心底心配している。
優しい人、だから。
『別に、対した事じゃないよ』
「泣いたのか」
ふわり、と頰に手が触れられる。
誘われるように自然と顔が上がる。
すぐ近くにアドニス君の顔があった。
アドニス君は、さっきの守沢さんと全く同じ表情で私を見ていた。
貴方も、言うの?
「何かあったなら頼ってくれ。小さき者は、俺が守る」
私が、苦手で仕方ない言葉を。
わかってる。これは、八つ当たりだ。
アドニス君に非がある訳じゃない。
頭でわかってても、それでも、私の口は止まらない。
『頼るだの、守るだの、随分安っぽい言葉使うんだね』
言葉は凶器。なんて、よく言ったものだ。
私の言葉は、鋭いナイフみたいに振りかざせば容易く人を傷つける。
怯えて、隠していても不意にバレてまた傷つける。
どうしようもない、最悪な凶器。
捨ててしまえたら、どんなに楽だろうか。
とめていた手を動かして、教科書を拾う。
その時、チラリと見えてしまったアドニス君の顔に見なければ良かったと後悔した。
傷ついた顔。そんな顔、させたかったわけじゃないの。
『ごめんね』
聞こえない様にそっと呟いた。
もっと、早くその言葉が言えたらきっと何かが変わっていたのにね。
何で、私はそんな表情しかさせてあげられないんだろう。
本当に、自分が嫌になって仕方ない。
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夜月詩音(プロフ) - 雷月ささめさん» ありがとうございます!過去の話は、自分の中でも特にお気に入りの下だったのですごく嬉しいです^ ^これをきっかけに、流星隊好きが増えてくれたらな…って思ってます! (2016年6月4日 22時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
雷月ささめ(プロフ) - 夢主ちゃんの正義が苦手な理由、過去とか、凄いゾクゾクしました…!流星隊だから気になったんですが見惚れる内容です〜!これからも応援してます! (2016年6月4日 12時) (レス) id: 85dc925e9d (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - 湊さん» ありがとございます!!作った時、面白いのかな?って凄い不安になってたので…そう言っていただけると嬉しいです! (2016年5月25日 19時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します、この作品を読ませていただきました!凄くいい話で、なんというか、もう最高です!!!これからも頑張ってください!応援してます!!! (2016年5月25日 11時) (レス) id: 54cc045c92 (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - 竜さん» ありがとうございます!自分でも書いてて、こういう人って実際にいたりするのかな?とか思ってましたw更新も、なるべく早く出来るように頑張ります( *`ω´)b (2016年5月17日 21時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜月詩音 | 作成日時:2016年5月1日 22時