3、『HPは限りなくゼロに近い様で』 ページ4
＊
「Aちゃん！早く来いYO！」
静かな五舎の建物の中、一声さんの声が異様に壁に反響する。
この大きな声が普通だと思う、私はもう駄目かもしれない…。
「先、猿ちゃんに紹介しといたほうがいい⁈」
いや、猿ちゃんって誰だよ。
私の頭の中には、いつか動物園で見た茶色の羽毛に囲まれたあの生物が思い浮かんだ。
本気で、猿だったら笑えるな。
「あーでも、面倒くさいし…やっぱ、厨房行っちゃうよーん‼」
勝手に自分で納得すると、一声さんは更に歩き出した。
暫く歩くと鉄の扉でできた部屋に着いた。
一声さんは迷うことなく、その扉を開けると入っていく。
「ほらほら、早くしないとーもう、ジュークがお待ちかねだ‼」
扉の前で躊躇していると、引っ張られ部屋に入るとそこは大きな厨房だった。
「遅いっ‼いつまで待たせる⁈」
ボーッと大きな厨房を眺めていると、奥から怒号が聞こえた。
恐る恐る声がした方を見れば、大きな男の人が眉間に皺を寄せ立っていた。
「全く、誰が来ると思いきや…小娘とは」
いきなり、初対面のおっさんに小娘と言われたことにムッとしながら奥に、目を凝らす。
黒い髪は長く白いコック帽子に殆ど隠れ、青い瞳は眼光が鋭く私を見ていた。
「もう、決まっちゃった事だしー？しょうがないんだYO！とりあえず、後はよろしくねーん‼」
男の人の肩に手を置いて、そう言った一声さん。
「じゃ、Aちゃん！困ったらそこの無線機でいつでも俺ちゃん呼んでくれていいから、さ☆」
頑張ってねーん‼
最後まで異常なテンションのまま、ブンブンと手を振る一声さんに手を振り返す。
バタンッ！と勢いよく扉が閉められると同時に、深ーいため息が聞こえる。
「…ったく、看守長は何を考えてんだか…」
頭を乱雑にかき乱すコック？さんに、とりあえず自己紹介しようと近寄る。
『今日から、ここで働く事になった小鳥Aです‼よろしくお願いします！』
ぺこりと頭を下げる私をコック？さんは、舐める様に上から下までみると一言。
「小せぇな…お前、使えなかったから容赦なく追い出すからな」
一声さん。既に、無線機使いたいんですけど。いいですか？
＊＊
その頃…一声三鶴が、
「面白い子が入ってきたねーん‼ハジメに知らせよーっと‼」
モニターの中で困り果てる小鳥Aを眺め笑っていたなんて知る由も無いだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 152人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し - とても面白いです！！頑張ってください！ (2017年6月10日 8時) (
レス) id: ec809085ba (このIDを非表示/違反報告)
月詠 - 凄く面白いと思いました！夢主のキャラ好きです。これからもがんばってください！ (2017年4月9日 5時) (レス) id: fd4b50b34f (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - 琥桜（こう）さん» ありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです(*´ω｀*)これからも、精一杯更新頑張らせていただきます！！ (2017年3月7日 18時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
琥桜（こう）(プロフ) - この小説が出てからすぐに読んでハマりました！とても面白いです！これからの更新頑張ってくださいね！ (2017年3月7日 16時) (レス) id: e90c8d7ea0 (このIDを非表示/違反報告)
夜月詩音(プロフ) - ＊gami＊さん» ありがとうございます！口悪い女の子って、結構好きです。笑更新、頑張らせていただきます（＾ω＾）b (2017年3月6日 22時) (レス) id: 9103400878 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜月詩音 | 作成日時：2017年1月30日 21時
