sun rise (ページ26)

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定時をとっくに過ぎた23時、やっと作業がひと段落し帰る目処が立った。窓の外はとっくに真っ暗だった。

残っているのは私と水野さんだけ

『水野さん...本当にすみませんでした！』

水野さんがいなければもっとひどいことになっていただろう

「気にしないで、俺もよくミスしてたのをフォローしてもらってたんだから。お互い様だよ...それよりさ、ごめんよりありがとうが聞きたいな？」

...こうやって申し訳ないという気持ちをナチュラルに軽減させてくれるのが水野さんのすごいところ

『本っ当にありがとうございました』

「どういたしまして」

そういって爽やかに微笑む水野さん。

本当に尊敬している先輩だ。こんなふうになりたい...いつからか思ってきたことだった。

「そろそろ帰ろうか？」

はい、と返事をして帰り支度をしていた時

カトクの着信音が鳴る

ドクン

しばらく聞いていなかった着信音が聞こえて身が固まって動けなかった

「Aちゃん？鳴ってるよ、出ないの？」

その声にハッとして失礼しますと断りを入れて震える手を押さえながら応答ボタンを押す

HC「...もしもし」

２日間声を聞いていなかっただけなのに懐かしく感じて涙が出そうになってしまう

『...はい』

涙を堪えながら出た声は震えていて泣いてると思われちゃうかもなと呑気なことを考えていた

HC「泣いてる...？」

やっぱり泣いてると思われた...

『泣いてない...それで...どうしたの？』

HC「ごめん...本当はすぐに電話したかったんだ、だけどスケジュールが立て込んでて...ゆっくり話せる時間がなかったんだ」

ほんとにごめんね、と付け加えて私からの返事を待つヘチャン

『ごめんって...なんで謝るの、私...彼女じゃないじゃん』

肝心な時に素直になれない私...本当に嫌になる。

あの日、私はヘチャンに遊ばれてるだけなのかなと思った時から、もうただのファンに戻る覚悟はできていた...つもりだった

ヘチャンの電話越しの声を聞いてしまうと欲が出てきてしまう。

何度も電話したりトークをしていくうちに、
私をいちファンじゃなくて、1人の女の子として見てほしい。そんなおこがましいことを考えるようになってしまっていたのだった。

HC「それはっ...！」

そう言って言葉に詰まるヘチャン

何秒経っただろうか、スーッと息を吸う音がすると

HC「俺の話、聞いてくれる？」

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