sun rise (ページ14)

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準備が終わると

KN「とりあえず移動しようか？」

『うん、その前にトイレ行ってもいい？』

わかった、ここで待ってるね、と言うカナを後にしてトイレの表示がある場所に向かう

『ふ～スッキリした』

さっきまでいた場所に戻ろうと元来た道を戻って行く。だいぶ奥まで来たな...

「あれ、昨日の...」

突然後ろから声をかけられた。振り向くと

『あっ、昨日のスタッフさん...』

昨日怪我の手当てをしてくれたスタッフさんがいた。コンサート会場にいるってことは事務所の人だったのかな。

「怪我、大丈夫でしたか？」

『はい、ありがとうございました』

「よかったです...」

口籠るスタッフさん、どうしたんだろう...

『どうしたんですか？』

「あの...電話番号を教えてもらえませんか？」

...え？なんで...？

私のなんでという表情を読み取ったのか

「実は昨日渡した番号、僕の電話番号なんです」

背筋に悪寒が走った気がした。

「それでその...一目惚れしてしまって...」

さっきより距離が近くなっている気がする

『その...ごめんなさい...電話番号は...』

その瞬間スタッフさんの表情が変わった。

「え...？でも僕の電話番号受け取りましたよね...？気づいてたんでしょ？僕の電話番号だって」

おかしい...会話が微妙に噛み合っていないし確実に距離を詰められている。

『ヒッ』

詰め寄られるのと同時に私も下がっていて踵が壁に付いてしまった。

逃げなきゃ...！

頭では理解できているのに足が動いたのはほんの数ミリだった。

「電話番号受け取ってくれたから僕と同じ気持ちだと思ってたのに...逃げないでよ...」

『痛っ』

手を掴まれてしまった...どうしよう...！

乱暴に私の手首を掴んだまま歩き出したスタッフさん。そうだ私この人の名前すら知らない。

そのことがさらに恐怖を増幅させ涙が出るほど怖くなってきた。

「僕と一緒に行こう？」

どこに、と言う言葉すら出ずひたすら引っ張られて奥に進んでいくと関係者入り口の横にある駐車場に着いた。

「抵抗しないってことは僕と一緒に行く決心ができたってこと？」

言葉を発せず涙だけポロポロと落としていたのを肯定と受け取ったのかスタッフさんは私を車に乗せようとする。

いやだ！と大声で叫びたくても喉からヒューヒュー音が出るだけで声が出ない。もどかしい。

助けて......

「おい何してんだ」

え...？

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