【A3!】寄り道しすぎでは。 (ページ10)

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だんだんと日が傾き、あたりがオレンジ色に染まっていく。

「時間切れ、ですかね。」と支配人が声をもらすと咲也くんが、そんなーー！と声をあげた。

「Aさん、誰か興味のありそうな子は見つかりましたか…？」

不安そうな目で監督が私にたずねた。

大丈夫！今から綴くんに会えるから！！！心配しないで！と思いながら私は、

『残念ながら…。』

と、心底悲しそうな声を出した。
お、これは私も役者いけるかも。

『あ！でも、さっき歩いてる子が
うーん、なかなか無いな…
ってボソって呟いてるのが聴こえたので、もしかして劇団探してるかもしれないです！』

と綴くんの存在を示した。

「え！！本当ですか！どこにいるでしょうか…。」

『うーん…たしかあっちの方に…。』

やばい、綴くんがどこから来るか全くわかってない、どうしよう。と私は言葉を濁したが、
すぐに咲也くんが、「あ、あの人じゃないですか？」と視線をむけた。

あ！ほんまや綴くん！！

咲也くんの目の先には、タレ目の可愛い青年がいた。未来の脚本作家。皆木綴だ。
いつも彼の描くステキな脚本に、オタクは苦しめられていた。
もちろん、良い意味で。

「ねぇ！団員寮を備えてる劇団に興味はない！？」