【A3!】寄り道しすぎでは。 (ページ32)

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サクサクと小気味良い音を響かせながら、トーストをかじる私達。
お皿の端には卵とベーコン、プチトマトとレタスが添えられており、臣君が来る前のMANKAI寮の朝ご飯はこんな感じなのかと心得る。

「志岐さんってあんまり寮に出てこないよね、いつも部屋で何してるの？」
と、至さんが気をつかってか質問してくれる。

『あっ私は、基本的にはMANKAIカンパニーの電話、メールの窓口対応と、経理業務、あとはもろもろのシステムの管理をしています....。今は夏組公演前なので、それに加えて管理人といづみさんと、業者に選別とか、依頼とか、そういう裏方裏方した仕事をしてます...。』

「へぇ.....すごい。いっぱい仕事してくれてるんだね。いつもありがとう。」

『あっそんな、私なんてこのくらいのことしかできないので...。こちらこそ、ありがとうございます、役者あっての劇団です。』

ははは、と至さんが愛想笑いをいれると、二人の間に再び沈黙が訪れる。

気まずい.....。
もうここはトリップ前の知識を利用させてもらって、

『そういえば、至さんってゲームお好きなんですよね？前に誰だったからかきいたことあります。私、FPSゲームなら結構得意で、前まで世界ランカーの友達と一緒にチーム組んでたんですよー！』

とゲームの話を持ち出した。
トリップ前は、学生の頃の友人が、とある有名なFPSゲームの世界ランカーだったので、仲の良かった私はよく一緒に遊んでいたのだ。いつの間にか私も強くなってしまった。

「！？マジで？なんのゲーム？」

『ええと、C○Dなんですけどご存じですか？』

思ったより食いつきの良かった至さんに、思わずトリップ前にしていたタイトルを出してしまう。

やばい、こっちの世界にC○Dあるんかな...なかったらしぬ。

「マジか！ktkr!!ちなみに前って言ってけど今はやってないの？」

『はい、もう一ヶ月くらいやってないですね...』

外面モードから一気にヒモモードに変わる至さん、「一ヶ月のブランクか...」とつぶやくと、

「志岐さん、お願いがあるんだけど。」

『何ですか？』

「明後日の大会一緒に出てくれない？」

『え！？私がですか？』

「うん。明後日の大会、声かけめんどいし、もう1人で出ようかなと思ってたんだけど、近くに世界ランカーがいるなら話は別。お願いしたいんだけどダメ？」

とダメと言わせない圧で問いかけてくる至さん。