【A3!】寄り道しすぎでは。 (ページ12)

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なんとか劇場につき、扉を開けてみんなで入っていく。そんな中、私はロビーでじっとしていた。

やがてガチャリっと扉が閉まりロビーに静寂が訪れた。

私が中に入ってないってみんな気付かんかった私の空気具合最高。
だって今はほんまに部外者やし、あんまりシリアスムードなところに行きたくないし。

改めてロビーを見ると汚い割には設備がしっかりしていることに気がついた。

チケットカウンターか、上半分がガラスで覆われたスペースがあり中には数台のパソコンも見える。

ここで仕事したら楽しそうやな…。
もしいづみ様がMANKAIカンパニーで働いていいよ！って言ってくれたらチケット売る人になりたいなぁ。

劇団HPのシステム管理もしたいし、お客さんにチケット発送する人にもなりたい。物販に立つ人もやりたいし、いっぱいやりたいことあるなぁ…。

バイトもしたい。やっぱり三角屋根のカフェで働きたい。けど、それだけじゃなくてちょっとお洒落な居酒屋とかでも働きたい。

でも劇団の仕事もしたいし…。

とまだ劇団で働く事も決まっていないのに、私はわくわくしながらこの先のことを考えていた。

にやにやしていると、ガチャリっと扉が開き左京が出てきた。

軽く会釈をすると、左京さんは立ち止まり「お前。」と声を出した。

『はい。』

「お前は誰だ？」

『えっと…通りすがりのお客さんです…。』

間違ったことは言ってない。

「そうか、アイツが巻き込んだのか…？」

呆れた声を出しながらも、左京さんは柔らかい表情を浮かべていた。

いづみ様のことを思ってるのかな。すごく、ステキな表情。
ほんとに好きなんだなぁ、と感じる。MANKAIカンパニーも、いづみ様も。
けれど、左京さんは秋組公演まで、それを隠して生きないといけない。

それはかわいそうやなぁ……。
それやったら、

『あの、私、これから、この劇団のこと応援します。
なのでよければ、貴方も一緒に応援しませんか？』

私は左京さんにそう提案した。だって、みんなの前で、応援してないふりするのは寂しいから。
それだったら、1人でも自分が応援していることを知っている人が居た方が良いのではないかと感じたのだ。

左京さんは、「はぁ？」と眉をひそめて私を見た。

ヤクザは怖ったがすごく真剣な目をして言っている私を見て、フッと笑い「考えとくよ。」と私の頭に手を置いて言い、劇団を去っていった。

？？？
え？何今の笑みかっこよすぎる私の中の全夢豚がやられた。