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「ふーっ、食べ過ぎた……」
ごちそうさまでした、と手を合わせたあとでお腹をさすると、自分でもビックリするくらい張ってる。
「今日消費した分、ちゃんと補ったね」
なかなかズバッとしたことを、相変わらずにこにこ笑いながら言う。
そんな彼を憎めない。
まあ、憎んだことなんてないんだけどね。
彼の隣にいて、何か悩まされるような経験は一度もなかった。
しいて言うなら、お料理がおいしすぎて困ってるくらい。
「そういえば、いただいたお饅頭があるけど食べる?」
それと、こうしておいしいものに恵まれすぎること。
よく、差し入れでいただいたものを私にもおすそ分けしてくれる。
「う……や、食べたいんだけど、太っちゃうなあ……」
「迷うんなら食べなよ。まだ柔らかいぞ〜」
私は見事に誘惑に負け、「いただきます!」と言っていた。
「ん〜おいしい」
「おいしいねぇ。今度俺もお店行ってみようかな」
幸せそうな顔をする彼を見ると、おいしいものはもっとおいしくなって、何倍も幸せになれる。
目が合ってにっこり笑う彼が、
「Aちゃんにはいっぱい食べさせたくなるんだよなあ」
とつぶやいてお茶をすすっていた。
「どうして?」
「素直な反応してくれるでしょ?それ見るの好きだから」
そう言ってじっと顔を見られてしまうと、恥ずかしい。
照れを隠すように「可愛いから、じゃないのね?」と冗談を言うと、
「Aちゃんが可愛いのはいつもだよ」だなんてサラリと言う。
ますます照れてしまうワケだけど、その彼の顔をよく見ると……
「ねぇひろくん、鼻膨らんでるよ」
注意すると、もっとワザと膨らませようとする。
「ダメダメ!アイドルなんだから閉じて」
あははは、って彼は自分のことを指摘されているとは思えなくらいに、カラッとした笑顔で笑ってる。
そういう飾らないところも大好きだ。
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すず(プロフ) - リクエストに応えてくださりありがとうございます!寂しいですが、残してくださった作品をこれからも読み返させていただきます。大好きです。 (9月25日 10時) (レス) id: e84de64e10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨーリン | 作成日時:2023年4月27日 0時