言えるわけがないよ(前話の流司side) ページ30
流司side
蓮美に、好きって伝える。たった二文字を伝えられるのだろうか。
クリスマスまでには、絶対伝えたい。とは言ったものの、あと九日しかない。逸る気持ちを抑えて病院に向かった。
「蓮美、入るよ?」
『あ、はーい』
肺炎にかかってたときとは比べ物にならないくらい明るい声。
病室に入ると蓮美は起き上がっていた。そばには本が置いてある。
「蓮美、どう?調子は」
『もう大丈夫。あとは手術だけだし』
「なら良かった」
手術……これが失敗なら蓮美は……。成功すれば良いけど……。
沈黙がしばらく続いた後、
『あ、あのね!』
「ん?なに?」
『手術、日にち決まったよ』
驚いた。すぐさまいつなのかを聞く。
「え?いつになったの?」
『二十日。その日の午前中』
「そっか、無事に終わるといいね」
嘘、クリスマス近いじゃん。早く告白しなきゃ……でも、好きの二文字、たった二文字なのに言えなくて。
『うん』
蓮美のことを見られない。好きな子と……。
『流司、今日どうしたの?なんか変』
「気のせいだよ」
平静を装う。蓮美は疑わしげに俺を見ている。
『ふうん……』
蓮美は、これ以上の言及はしてこなかった。正直、助かった。
好きってすぐに言えたら良いのに……。
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作者名:よなっち | 作成日時:2016年12月29日 8時