暁 13 ページ15
私は山の中にいる。
私の進んでいる道が地図通りであれば、今は空都の近くの山。
私は今、緋龍城の周りを散策しようと思っている。
私がかつていた城。
今はどうなっているのか。なぜ父上が無くなってしまったのか。ハクは本当に父上を殺してしまったのか...。
疑問は未だに生まれ続けるばかりだった。
A｢父上...。｣
私は己の力の無さに悔しさを感じた。
私が迷子にならなければ、もしかしたら今のようなことが起きなかったかもしれないのに。
失踪してしまったヨナの近くで寄り添ってあげられていたかもしれないのに...。
きっと今頃もどこかでヨナは寂しい思いをして、苦しい思いをして常に生きてきたんだわ。
早くヨナに会いたい。
ハクやスウォンにも。
今は誰が何をしているかも分からない。
同じ空の下でいつも仲良く過ごしていたのに。
ヨ｢ねぇねぇ姉上！あれはなぁに？｣
A｢あれは夏の夜にしか咲かないお花よ。｣
ヨ｢どうして？？どうして夜なの？？｣
A｢月の光を浴びて綺麗に咲くのよ。｣
ヨ｢まぁ！！何だか素敵ね！！｣
ハ｢姫さん。声が大きい。｣
ス｢今はお忍びですからね。｣
ヨ｢あらっ。ごめんなさい。｣
ヨナ(6才)、ハク(8才)、スウォン(8才)、私(8才)の4人はお城をこっそりと抜け出してすぐ近くにある花畑に来ていた。
夕方だったからまだ花は咲いていなかったけど、地面いっぱいに広がる蕾さえ綺麗に見える。
ヨ｢姉上。｣
A｢なに？ヨナ。｣
ヨ｢このお花たちが咲くまで待ってたらダメ？｣
A｢流石にそんな時間までは居られないわ。｣
ス｢僕もちょっと見てみたいです！｣
A｢スウォンも？？｣
ハ｢ちょっと。2人して何言ってるんだよ。｣
ハ｢お前らが1番ここにいちゃいけねーのに。｣
A｢そうよ。見たい気持ちも分かるけど、城の者達が心配してしまうし、またジュドに怒られちゃうわ。｣
ヨ｢...ちょっとめんどくさいわね。｣
ス｢ジュド隊長はいつも私達を探しに来てくれますよね！｣
A｢それはジュドに迷惑をかけてるってことよ。｣
ハ｢とりあえず今日はもうちょっとしたら帰ろうぜ。｣
A｢そうね。ヨナ、それでもいい？｣
ヨ｢あ！待って！あそこにひとつだけ咲いてるわ！｣
A｢え？｣
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作者名：月夜 | 作成日時：2018年9月4日 21時
