双愛【JN】 (ページ45)

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一瞬、何が起こったのか分からなかった。

母さんが…帰ってきてたなんて。

母は、すぐに引き剥がすように引っ張り上げ、私たちの頬を交互に叩いた。
涙を流しながら。

泣きながら母は、つぶやくように

『いつか…いつかこんな…ことに…』

そう言って部屋からヨロヨロと出ていった。

仲が良いことは良い思っていたが、何となく違和感を感じていたらしい母は私とソクジンがいつか男女の関係になるのでは、と懸念していたらしい。

父が自由奔放で、放任で母はいつも任せきりでまともに話し合うこともしたことがなかった父に、まさか子供たちのそんなことを相談できる訳もなく一人悩み、いつも苛立っているような素振りはそのせいだったと

一年も過ぎてしばらくしてから、誰かに聞いた。
父からだったのか、母本人だったかあるいは親類から聞いたのかも忘れた。

でもそんな事どうだっていい。

母には私とソクジンを産んでくれた事、感謝してる。

でも…あの時の…あの母の目。
私とソクジンを恐ろしいものでも見てしまったかのような目だった。

きっとあれは一生忘れない。

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