手は出しません ページ7
そう伝えれば、やはり先生も気になったようだった。ピク、と反応した後こちらを向く。俺が話を盛っていると思っているのか、疑っているような顔でこちらを見た。
ジェ「俺も実際に見たことはありませんが、動画ならネット上に多く出回っています。とは言っても一瞬な上に画質も荒く砂埃や葉などが待っていて、ちゃんと撮れているものはごく僅かですが。」
サ「こんなほっそい腕でワンパンすんのか?信じられねーな…」
ジェ「いえ、彼女はパンチでは無く蹴りだそうです。」
俺がそう訂正するも、先生は「どっちにしたって信じられねーよ」とだけ片付けた。そう思うのも無理はない。今だって彼女の実力を信じていない人間はいるし、実際に見ない限りは彼女の実力を断定することは出来ないのだ。
俺は皿洗いを終え、そのまま掃除に取り掛かった。
ーーーーー
「キャは、次はあなたがあたしのお相手してくれるの?」
目の前の怪人はツギハギの人形のような形をしているが、浮き出た欠陥や後ろで蠢く触手はただの人形なんかではないことを表している。
正直私が呼び出される理由もわからないが、どうせ他のS級が出払ってるからみたいな理由なんだろう。そんな理由でこんなつまらない任務をさせられる私の身にもなってほしい。
というかそもそも、この程度の敵も倒せない様なA級が信じられない。その程度の実力でヒーローを名乗ろうだなんて烏滸がましいんじゃ無いだろうか。
はぁ、とため息をつく。しかし周りにはギャラリーがいるのですぐに笑顔に戻して、もう未来などない目の前の怪人に語りかけた。
『おやおや……ごめんね、レディーに手を出す趣味はないんだよ』
「ウフふ、優しいのねぇ!ヂャあ早く死んで!!!」
『うん、手“は”出さないよ』
人形の様な怪人はひゅ、と勢いをつけて大きい刃の様になった触手を振りかぶる。慢心した頭の悪い奴は嫌いなんだけど。怪人も、人間も。
びゅ、ぱん、ぐちゃ。
汚い音と一緒に、怪人は原型もなく崩れ落ちていく。きっとこいつには何が起こったかすら理解出来ていないだろう。する必要はないけど。
空中でくるりと一回転して着地して、決め台詞かの様に先ほどの言葉に続けた。
『足は出すけどね』
攻撃を避けて飛んで怪人を蹴るだけの簡単な作業。だけど周りからはわっと歓声が上がる。笑顔で手を振って答えれば黄色い声援が聞こえた。
65人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜雄色(あおいろ) - ゆきなさん» 更新&返信遅れて大変申し訳ございません…!分かります!!私もその2人めっちゃ大好きです!!!(大声)ありがとうございます!やっぱりワンパン愛が足りないので滝行するしか無いですね (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
亜雄色(あおいろ) - おかめさん» その節は大変申し訳ございませんでした…!ありがとうございますぅ、全力で更新させていただきます…! (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
亜雄色(あおいろ) - ホロロさん» おもしロンドン…!?(溢れ出るセンス)ありがとうございますうううう!!更新&返信遅れまくってすみません…!ワンパン愛が足りませんね、滝行してきます (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 推しは番犬マンと金属バッドです!これからも無理せず頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年9月11日 4時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
おかめ(プロフ) - 更新が暫く無いようですが、ずっと待ってます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 93e49bab53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:亜雄彩(あおいろ) | 作成日時:2020年2月16日 16時