実力さえ知りたいタイプの熱烈なファン ページ48
自分で言うのもなんだが、私はアマイマスクと並ぶレベルの大人気ヒーローだ。基本的にパトロール中でのサインや写真、握手はお断りしている。
因みに無理にしようとすると「チェリーさん困ってんだろうが!!失せろにわか!!!」とどこからともなく野次が飛んで来るくるぐらいには、私のファンは従順である。
いつも通り断ろうとその人に向き直った。
振り返った先には、まだ高校生…ギリギリ大学生にならないくらいの青年がいた。ぴっちりとしたハイネックからはしなやかな筋肉がうかがえる。顔にはほんのり喜色がうかんでいた。
「なぁ、アンタ___……」
『すみません、パトロール中ですので』
なんとなく格闘技でもしてるんだろうなと思い至って、私の思考にタイムリーな青年の言葉に被せて断った。
いつも通りの営業スマイルで対応する。大抵の人間はこれで私のことを笑顔で優しいヒーローだと思ってくれた。そして「失礼しました」と引き下がるのだ。
が、
その青年は何故か、絶望の様な、失望の様な……寂しそうな表情を浮かべて、掴んでいた手を無気力に垂らす。
……様子がおかしい気がする。「あの」と話しかけるも反応はない。
ただ、様子がおかしいのは私もだった。何故か既視感のあるこの光景に、胸のあたりがざわざわする。焦燥感というのが近い気がした。
「……そうかよ」
青年はそう言って、くるり、と踵を返した。
なんだったんだ、そう思いながら、私もその場を離れようとした時。
ガ「オレはガロウ……テメェを狩るぜ」
数歩後ろでそう声がする。さっきまでの焦燥は何処へやら、私は既に「ヒーロー」だった。後ろからの空気だけで、彼がそれなりの強さであることはわかる。
………同時に、私の敵ではないことも理解した。
『へぇ……キミが噂のヒーロー狩りか…。思ったより若いんだな、何歳?』
ガ「……」
こちらの問いには答えてくれない。おしゃべりをする気はないみたいだ。まぁ知らない人にはホイホイ情報を与えるもんじゃないし……いや、あっちは私を知ってるよな?No.1ヒーローだし…とすると知らない人ではない…?
今の状況を思い出して、脱線した思考を戻す。何がどうなっても今のコイツに負ける気はしないが、油断は禁物だ。
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亜雄色(あおいろ) - ゆきなさん» 更新&返信遅れて大変申し訳ございません…!分かります!!私もその2人めっちゃ大好きです!!!(大声)ありがとうございます!やっぱりワンパン愛が足りないので滝行するしか無いですね (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
亜雄色(あおいろ) - おかめさん» その節は大変申し訳ございませんでした…!ありがとうございますぅ、全力で更新させていただきます…! (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
亜雄色(あおいろ) - ホロロさん» おもしロンドン…!?(溢れ出るセンス)ありがとうございますうううう!!更新&返信遅れまくってすみません…!ワンパン愛が足りませんね、滝行してきます (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 推しは番犬マンと金属バッドです!これからも無理せず頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年9月11日 4時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
おかめ(プロフ) - 更新が暫く無いようですが、ずっと待ってます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 93e49bab53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜雄彩(あおいろ) | 作成日時:2020年2月16日 16時