ワンパンならぬワンキック

人工知能を見習え ページ47

『君も大変だな。まぁ…そこそこに頑張ってくれ』

金《おぉ……。あ、そうだチェリー。さっき言われた事だけどよ、やっぱ俺より童帝あたりに聞いと方がいいと思うぜ》


「うん」とだけ返事をして通話を終了する。
“ヒーロー狩り”のお披露目会から約5日、様々なところで問題を起こしているらしい。襲われたヒーローには特に共通点はなかった。つまり手当たり次第に喧嘩をふっかけているんだろう。

サイタマにお任せしてはいるものの、未だヒーロー狩りが捕まったという情報は聞かない。まぁ、彼まだ無名だしな……ヒーロー狩りが積極的に狙うほどでもないだろう。
そう言えば彼、ヒーロー狩りの顔とか分かってるのかな？私も知らないんだけど。


今のところ、協会からの連絡は無視。ここ最近はパトロールしているだけだが、特にこれといった異常はない。

強いて言うならシルバーファングが道場を畳んだくらいか。格闘技大会の審査員もほっぽりだして、ガロウ討伐に向かったらしい。ヒーローとしてはとても賢明な判断である。

格闘技大会か……出場してもいいけど3秒くらいで優勝しそうだ。ああけど、脳筋じゃない技を極めた奴らがでるんだよな……見込みのあるやつを探すくらいならいいかもしれない。


今まではどこで何をしていても出動要請が出たし、パトロールだって30歩歩いたらおしまいなんてこともザラだった。
久しぶりの散歩の様なパトロールにふぁ、と欠伸がでる。

……退屈すぎる。確かに雑魚の相手も面倒だが、ただ歩くだけもつまんないな。歓声もないし。どうせなら怪人退治でチヤホヤされた方が気分がいい。

そんな私の気分を待ってましたと言わんばかりに、ウゥウゥと無機質なサイレンが響き渡る。


《緊急避難警報！緊急避難警報！Ｓ市内の商店街にて怪人が発生した模様！！》


何ともまぁ慌てた声だ。避難アナウンスなんだからもうちょっと落ち着いて欲しい。S○riを見習えSi○iを。


暇だし遊びに行こうかな。そう考えながら歩いていたら、急に後ろにぐいと手を引かれる。そんなのでバランスを崩すほど貧弱でもないが、おおよそ一般人とは思えない力の強さに半歩引っ張られた。

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