ワンパンならぬワンキック

誰が見たって「綺麗」の一言 ページ5

《始まりました、今日の話題特集セブン！では早速一つ目の話題に入っていきましょう！今日の話題はこちら！！》


液晶の向こう側で、女性アナウンサーが愛想よく笑みを浮かべながら明るい声で企画を進めてゆく。キッチンで皿を洗いながら、サイタマ先生が何となくつけた昼のニュースを一緒に見ていた。


女性アナウンサーが始まりの言葉を言い終えるとともに、並んでいたアナウンサーたちは横にはける。カメラはニュース会場の中央のモニターへと寄せられ、それとほぼ同時にモニターにある女性の写真が映し出される。

その横には、吹き出しの中に「超人気S級ヒーロー！チェリー・インパクトに独占インタビュー！！」との文字が綴られていた。

そのモニターを認識するや否や、アナウンサーたちは「おぉ！」「えっ！？」などとどよめきだす。誰もが知っている人気ヒーローにも関わらず、俺も先生も無反応だった。


《そうです！今回はあの誰もが知るS級ヒーロー、女性ヒーロー人気ランキング３年連続ナンバーワンを誇るチェリーさんに、独占インタビューしてまいりました！！》


驚きや羨ましがるような声がいくつか聞こえたのち、画面はそのチェリーというヒーローを紹介するプレゼンに変わる。

彼女のヒーローネーム、そして主にキックで戦うという戦闘スタイルがヒーロー協会の仕組みなどとともに５分ほどでざっくりと説明する。そして今までの実績やあらゆるランキングで一位に輝いていることなどが紹介されたら、漸く映像がインタビューのものへと切り替わった。


映像が切り替わってすぐに目がいったのは、少し質の良さげな椅子に足を組んで座るそのヒーローだった。長く細い足は、黒のスキニーとヒールのついた黒のショートブーツという組み合わせでさらに美脚に見せられていた。
白のハイネックにベージュ色のトレンチコートの組み合わせは今の時期にあっていなような気もするが、違和感無くモデルのように着こなしている。

珍しい桜色の天然パーマを高い位置で一括りにし、健康的で美しい白い肌の上には整った顔立ちがあった。スッと通った鼻筋に主張しすぎない唇は弧を描き、翡翠色の丸い瞳は長い睫毛で縁取られ、にこやかに細められていた。

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