無能ばっかり ページ39
『随分とつまらない真似してくれたじゃないか』
不機嫌丸出してそう言えば、目の前の男はびくりと面白いほど肩を揺らした。私が足を組み替えるのすら恐ろしいらしく、顔は真っ青で息苦しそうだ。
何がそんなに怖いのか。私に殺されるとでも思っているのか?まぁしないとは言い切れないけど。
あの宇宙人襲来から約一ヶ月、人々は普段通りの生活を取り戻しつつあった。そんな中急に協会に呼び出され、今回の報告を受けた。
『世の中のチンピラ共の力を借りようとしたところ……逆にA級共々返り討ちにされたと。本末転倒だな、馬鹿なのかい?
普通に考えてそうだろう。チンピラっていうのは悪い奴なんだぞ?分かるか?』
まるで無知な子供に言い聞かせるような口調で強く言う。下手すれば五歳児でもわかるようなことが分からなかったんだ。こう言わないと伝わらないだろう。
ぎぃ、と椅子が鳴る。呆れた、と呟けばしかし、と反論してくる。しかしも何もあるか。ぎろりと睨めば怖気付いて半歩下がる。
『しかし……?何だい、言ってみなよ』
「っ……こっ…、今回の、地球がヤバい大予言、は……」
『ついに喋り方まで忘れたか?それとも私を怒らせたいのか?』
「〜〜ッ……!こ、今回の地球がヤバい大予言は、最近の怪人の発生率の増加と凶暴化の傾向から推察するに、まだ乗り越えていないものと思われまして…!協会がヒーロー不足なのは明らか、今こそ全人類で一致団結するべきと言うわけで……」
息苦しそうに、しかし私の機嫌を損なうまいと早口で喋る。
馬鹿極まれり、と言った感じだ。そもそもそう都合のいい時に急に全人類が一致団結なんか出来るわけない。もし出来たら警察なんかは存在していないだろう。
『その説明を聞いたあとだと更に呆れるな。私の機嫌を損ねる覚悟で私に怪人退治を回しまくる方が、よっぽど賢明のように思えるけど』
「…それは」
『結局君らは己の保身にばかり走ったんだよ。世間に批判されず、私からの苦言も来ないような方法を探した結果、貴重な戦力であるA級を無駄にしたという訳さ』
「…………」
職員の男が納得のいかないような顔をする。大方私が面倒臭い性格でさえなければ万事解決だったみたいな考えなんだろう。
普段から助けて貰ってる立場のクセしてこう言う時ばかりは私に責任を押し付けようと言うのか。全くもって気に食わない。
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亜雄色(あおいろ) - ゆきなさん» 更新&返信遅れて大変申し訳ございません…!分かります!!私もその2人めっちゃ大好きです!!!(大声)ありがとうございます!やっぱりワンパン愛が足りないので滝行するしか無いですね (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
亜雄色(あおいろ) - おかめさん» その節は大変申し訳ございませんでした…!ありがとうございますぅ、全力で更新させていただきます…! (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
亜雄色(あおいろ) - ホロロさん» おもしロンドン…!?(溢れ出るセンス)ありがとうございますうううう!!更新&返信遅れまくってすみません…!ワンパン愛が足りませんね、滝行してきます (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 推しは番犬マンと金属バッドです!これからも無理せず頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年9月11日 4時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
おかめ(プロフ) - 更新が暫く無いようですが、ずっと待ってます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 93e49bab53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜雄彩(あおいろ) | 作成日時:2020年2月16日 16時